心中で嘆いていると、哀れみ半分、愉快半分で見ていた傍観者のひとりがついに動いてくれた。
「ケイちゃーん」
一緒にやらない?
トランプの輪に招いてくれるワタルさんがおいでおいでをしてくる。
「喜んでいっきますー!」
俺は弁当を持ったまま腰を上げて、さっさと戦闘から逃げ出した。
二人が怒声を上げてくるけど、知らね、知らね、俺は知らねぇええ!
そそくさとワタルさんの隣に腰を下ろして、ホッと胸を撫で下ろす。
ケラケラと笑うワタルさんは、災難だったねとバシバシ背中を叩いてきた。
助けてくれてなんだけど、もう少し早く誘ってくれても良かったんじゃ…ワタルさん。
って、ヨウ!
お前は俺の兄貴だろ!
なーんで呑気にトランプを繰ってるんだよ!
助けてくれたっていいじゃないかっ、ド阿呆!
……って、言えれば、俺はどんだけ清々しい気分になるんだろうな。
小さくと息をついて俺は喧嘩してるカップルに目を向ける。
俺の意見を頂戴できなかった二人は、また口論開始。
聞いてるだけでくだらないから、敢えてどんな悪口(あっこう)をついているかは伏せておく。
「二人とも、よーくやるよねんねん。
まあ、愛ゆえの口喧嘩だろうけど? 痴話喧嘩はわんこも食えないって言うし、放っといてもダイジョーブだろうけどんぶり」
「てか、関わるだけ無駄な労力を使うっつーの。うっし、王道にババ抜きでもするか」
シャッシャッシャとトランプを繰るヨウは、手馴れた手つきでトランプを配り始める。
ババ抜きならモトやキヨタも誘えば…、ああ駄目だ。
あの二人、ゲームに夢中だ。
獣を狩るゲーム“ケモハン”をしてるっぽい。
武器の装備だの、アイテムの補充だの言ってる。
弥生とハジメは論外だから、三人で仲良くババ抜き開始。まあ二人よりかは三人の方が楽しめるしな。



