心中で溜息をつく俺は、ジベタリングしている不良達に視線を投げた。
谷と川瀬は俺等と同い年で同じ学年らしいんだけど、矢島は年齢的に一個上。つまり俺達の先輩になるわけだ。
けど、事情があって留年したらしい。
だから今年も二年。
どーりで矢島の顔に見覚えがない筈だ。
態度はともかく、同じ学年プラス美形さんだったら、名前は知らずとも顔を一度は拝んでるだろうし、不良なら尚更目立つから顔を見てる筈なんだけど、矢島の顔に見覚えがなかったし。
残り二人も1年の時は髪染めをしてなかったみたいだから…、顔を見てても記憶に無かったわけだ。納得。
さてさて、おれたちゃゼンッゼン悪くないですよ態度でどっしり胡坐を掻いている矢島に、谷に、川瀬だけど…。
マージでこいつ等、どうしようかねぇ。このまま話し合いを続けても、平行線を辿るでジ・エンドな気がする。
あと、どうでもいいけど、いっちゃんの被害者は俺なんだからな!
ヨウは逆恨みだけで済んでるけど、俺は面子にまで関わってるんだからさ!
悪い噂を立てられたせいで、身に覚えのない恨みを買ったりしたらどーしようっ…、うわぁああっ、想像するだけで胃が重っ!
こっそりと腹部を擦る余所で、「とにかくだ」ヨウがギッリギリ奥歯を噛み締めながら話を切り返した。
「テメェ等が俺に逆恨みしようとなんだろうと、仲間の名前を悪用したことは見過ごしておけねぇ。ケイに謝りやがれ」
「だったら荒川! お前もあんちゃんに謝れ! お前のせいでっ、あんちゃんは心にふかーい傷を負ったんだぞ!」
「渚の言うとおり! 荒川のせいでアンちゃんは失恋したんだ! 土下座して謝れ!」
……ああいえば、こういう、だよなこの状況。
失恋って言葉に矢島、どーんと暗くなって頭上に雨雲を作ってるし。
ヨウはヨウで怒りのボルテージがスリーアップしてるし。
「それになぁ荒川! さっきからえっらそうに物言ってるけど、アンちゃんはまだ負けてないんだからな! ただっ…、俺達を助けるために油断したからであって…、普段はスゲェ強いんだぞ!
……アンちゃん、すみません。俺達のせいで…、足を引っ張ってしまって」



