「うっし。聞けテメェ等。今日から荒川チームはストーカーチームとして動くことに決めた。誰か、ストーカーのやり方を知ってる奴はいねぇか?」
 
 
イケた笑顔且つ爽やかオーラを出しているわりに、言うことは法に触れそうな発言。
禍々しい台詞である。


我がリーダーの突拍子もない発言に俺等チームメートは唖然のぽかん。

なんっつーか、今の心情を例えるなら今日は軽く発汗するくらい暖かいお天気なのに、

「今から雪が降りそうだな」

とヨウに発言されて何言ってんだ? お前? と訝しげな気持ちを抱くような、そんな気分。


総合して言えば、ヨウ…、お前いきなりナニ言ってんの?
 

やや賑わいを見せていたシズの部屋が一気に静まり返る。

ぼっけーっと呆けるチームメートに、「ん?」どうしたテメェ等。俺、変なこと言ったか? ヨウが不思議そうに首を傾げてきた。


おいジョニー。

今の発言が正当なものだって言えるものなのかい?

遺憾なことに俺はさ、ちっとも正当な発言には思えないんだ。

おかしいな、17年間せっせと培ってきた常識という知識が間違っていたのかな。

俺ってどこかで学びの場を間違えたのかな。



……阿呆なこともこれくらいにして、意図を聞こうか。ヨウの提案してくるストーカーの意図を。



同じことを思ったのか、ハジメが説明してくれるよう頼んだ。

一体ナニをどうしてどうしたらストーカーをしようと思いついたのか、ヨウの思考回路がまったくもって読めないらしい。

良かった、俺だけじゃなかったのね…、困惑していたの!

俺より付き合いの長いハジメがそう思うくらいなんだから、当然俺だってそう思っても罰はねぇよな!


説明を求めると、ヨウはストーカーはストーカーだと端的に説明。

端折りすぎてちっとも意味が伝わってこないのは、俺達の理解力が乏しいせいだろうか?



「これを思いついたのはケイの家に泊まった時だ」



……はい?


一斉に視線がこっちに向いてくる。
 

ちょ、待って! 待って待ってまって!

誰も彼もが俺を白眼視しているけど、おぉおお俺、ストーカーとか一言も話題を出しちゃないぞ!

確かに昨日、ヨウが泊まりに来た。来たけどっ。

そんな恐ろしい行為を熱弁し合った記憶も、それを思い浮かばせるような話もした記憶がない! こ、これは冤罪だ!


「け、ケイさん。まさかそんな犯罪めいたことを…、何をしようと思ったんですか」


ががーんと大ショックを受けているココロに、


「俺は無実だよー!」


こっちも疑われてががーんと大ショックを受ける。