中身は入ってるから頭に当たれば当然、
「イッデェエ!」
ゴンッ、心地良い音が川瀬の頭を襲った。うん、まあ痛いよな。
間を置かず俺は最後の一本を谷の頭に向かって投げ付ける。
渾身の力を籠めて投げ付けたペットボトルは宙を裂いて、そのまま「渚!」
無情にもペットボトルは叩き落とされた。
瞠目する俺の前に現れたのは、さっきまでヨウとお相手していた矢島。
持ち手を逆にし弟分を守るように前に出て、扇状に開いている刷毛部分でペットボトルを叩き落としてくれちゃったんだけど…こいつ。
敵ながら不覚にもカッケーとか思ったのは内緒な!
「大丈夫か、渚。悪い、千草。気付いてやれなかった」
「俺は大丈夫だよ、あんちゃん!」
「こっちも大丈夫です。アンちゃん、それよりあいつ等を伸しちまいましょう!」
「ああ、そうだな」綻ぶ矢島の顔は美形そのもの。
うわぁ、ヨウとは違ったイケメンオーラを発してるんだけど。
不覚ながらも、わりとカッケーって思う俺がいるんだけど。
んでもってイケメン爆発しろって妬む俺もいるんだけど。
性格が悪い?
ははっ、妬みは人間に付き物な感情だろ!
それにしても矢島は弟分達に対しては優しい男なんだろうな。
弟分達のために、ヨウとの喧嘩を放棄してこっちに駆けて来るなんて。
でもなあ…、矢島。
喧嘩スキーのヨウに背を向けちゃなんないんだぞ。
あいつはお前と違って、なあんも習ってないけど、喧嘩に関しちゃエキスパートだから? 小さな隙ができたら見逃さずに。
「食・ら・いやがれ!」
ガゴン―ッ!
決まった!!
ヨウのミドルキックアーンドストレートパンチ!
背後からドンッと、蹴られた矢島はくらっと前のりに。
しかも俺が投げたペットボトルを踏んですってんころりん。
盛大にコケて顔面を強打していた。
かわいそうに、美形は顔が命だろうに。



