ヨウも相手のバトルスタイルが読めたのか、舌を鳴らして飛躍後退。
相手の出方を窺う態勢を取った。
加勢してやりたいけど、俺が行ったら寧ろ足手纏いだし、俺は俺でこの二人を相手取らないといけないしっ。
ブンッ―。
勢いづいて飛んでくる谷の拳に悲鳴を上げつつ、俺は両手の平で受け止めた。
視界の端に川瀬の援護が見える。俺は素早く谷の右手首を掴んで勢いづいたまま、向こうへと放った。
「うわっち!」
「イデッ!」
谷と川瀬が正面衝突して、折り重なるように倒れる。
どういうことだよ、舎弟は喧嘩できないんじゃないのかよ、なーんて会話が聞こえたけど、……バカヤロウ!
伊達に荒川の舎弟をしてるわけじゃないんだぞ!
それこそ手腕は無いけど、幾度となく喧嘩を乗り越えてきたんだ。
それなりの判断力くらいは身に付くっつーの! 舐めるでねぇ!
それに…、俺は半強制的に鍛えられた判断力で、二人の実力をあらかた見越した。
こいつ等、俊足だけどそんなに腕は無い。
俺と同じ、下の中みたいだ。
二人相手はツライし、勝てるかどうかは分からないけど、なんとなーくどうにかなりそうな気がしてきた。
うん、気がするだけだけど。
問題は……。
俺は舎兄を一瞥。
矢島は息を殺して構えたまま動こうとはしない。
ヨウが相手の出方を窺っているように、向こうも相手の出方を窺っているんだ。
目を眇め、すり足で動いて矢島が柄を握りなおした、その刹那、奴はヨウに向かって足を踏み込んでくる。
速い!
その回りこみの速さは想像以上だ!
幾ら喧嘩スキルが高いヨウでも、この速さには動じてしまったのか、「胴!」の掛け声と共に柄がヨウの脇に入った。
「ヅッ」モロに攻撃を食らったヨウは、軽く息を詰めて後ろへ飛躍。けど矢島はすかさず、また足を踏み込んで反対側の脇に柄を入れた。
どうにか動きを読んで、右腕で受け止めたヨウだけど痛みで顔を顰めている。
嘘だろ、あのヨウが苦戦を強いられるってことは、あいつ、相当の剣術使いだぞ。



