青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―



ヨウも相手のバトルスタイルが読めたのか、舌を鳴らして飛躍後退。

相手の出方を窺う態勢を取った。

加勢してやりたいけど、俺が行ったら寧ろ足手纏いだし、俺は俺でこの二人を相手取らないといけないしっ。
 

ブンッ―。

勢いづいて飛んでくる谷の拳に悲鳴を上げつつ、俺は両手の平で受け止めた。


視界の端に川瀬の援護が見える。俺は素早く谷の右手首を掴んで勢いづいたまま、向こうへと放った。
 
「うわっち!」
「イデッ!」

谷と川瀬が正面衝突して、折り重なるように倒れる。

どういうことだよ、舎弟は喧嘩できないんじゃないのかよ、なーんて会話が聞こえたけど、……バカヤロウ!

伊達に荒川の舎弟をしてるわけじゃないんだぞ!

それこそ手腕は無いけど、幾度となく喧嘩を乗り越えてきたんだ。


それなりの判断力くらいは身に付くっつーの! 舐めるでねぇ!


それに…、俺は半強制的に鍛えられた判断力で、二人の実力をあらかた見越した。

こいつ等、俊足だけどそんなに腕は無い。
俺と同じ、下の中みたいだ。


二人相手はツライし、勝てるかどうかは分からないけど、なんとなーくどうにかなりそうな気がしてきた。

うん、気がするだけだけど。



問題は……。



俺は舎兄を一瞥。
 
矢島は息を殺して構えたまま動こうとはしない。

ヨウが相手の出方を窺っているように、向こうも相手の出方を窺っているんだ。

目を眇め、すり足で動いて矢島が柄を握りなおした、その刹那、奴はヨウに向かって足を踏み込んでくる。
 


速い!


その回りこみの速さは想像以上だ!
 


幾ら喧嘩スキルが高いヨウでも、この速さには動じてしまったのか、「胴!」の掛け声と共に柄がヨウの脇に入った。

「ヅッ」モロに攻撃を食らったヨウは、軽く息を詰めて後ろへ飛躍。けど矢島はすかさず、また足を踏み込んで反対側の脇に柄を入れた。

どうにか動きを読んで、右腕で受け止めたヨウだけど痛みで顔を顰めている。

嘘だろ、あのヨウが苦戦を強いられるってことは、あいつ、相当の剣術使いだぞ。