でも俺達を閉じ込めてどうしようっていうんだろう?
危害を加えるにも六人全員を倉庫に閉じ込めて、それで終わりだと思うんだけど。
まさか外部にいる仲間に危害を…、いや可能性は低いだろ。
皆、学校にいるわけだし。
イマイチ読めない輩の心意に首を傾げながら駐車場を見つめる。見つめる。ひたすら見つめる。
あ。何か思い出しそう。俺は心中で呟いた。
手に届きそうで届かない記憶を探っていると、舗道に人影が見えた。
「ん?」眉を顰めるヨウは人影を見据え、ただの通行人かと零す。それを聞き流し、俺は呼吸を忘れて瞠目。
あの通行人は、
あの男は、
あの見覚えのある黒髪にガタイの良い身なりはっ…、
私服姿の男はっ…。
間
宮
航
平
世界が暗転しそうだった。
全身をバイブレーターのように震わせて、舎兄の腕を掴む。
「ケイ?」弾かれたように俺を見やるヨウに、「ちが…っ」声を振り絞って違うと伝える。
あいつは通行人じゃない。
あいつは通行人なんじゃないんだよ、ヨウ。
それを伝えたいのに足が竦んだ。声が出ない。多大な恐怖心が出てくる。
あいつにも俺は、幾度もなく、幾度もなく、甚振られっ…。
ガクガク震える体に連動して平常心が崩れる。
「嫌だ」もう嫌だっ、此処から出たいと壁に爪を立て、半狂乱になりかけた。



