冷汗を流す俺に大丈夫だとヨウが励ましてくれる。

どうやら口に出していたらしく、「監禁なんてされっかよ」なんたって手腕のある面子がこんなにもいるんだから、とヨウ。

キヨタなんて合気道級所持者なんだ、そう簡単に監禁なんてされないと舎兄は笑顔を零す。

軽く笑みを返しつつも不安は拭えない。
  

「なあヨウ。安易に仲間を応援に呼んでいいのか? ……もし、これがなんかの罠だったら」


おずおずとヨウに意見すると、その旨を既にモトが伝えてくれていると教えてくれる。

こっちに来る時は極力注意を払ってくるよう促したとか。

俺が心配するまでもなかったようだ。

きっとブログの記事を読んだ仲間たちが知恵を出し合って助けに来てくれる筈だとリーダーは断言する。


「俺達を閉じ込めた輩が何をするのか分からねぇが…、閉じ込めたと同時に手前も下手に手出しはできねぇだろうよ。
安心しろ、ケイ。二の舞になんざしねぇよ。
俺が許すか、ンなザケたこと。もう誰も狩らせねぇ。仲間を簡単に狩れると思うなよ。

―――…あんま俺を舐めてると痛い目に遭うぞ、里見」
 

殺気立つ舎兄は、そういうことだから安心しろと頬を崩す。

一段と頼もしく見える舎兄を恍惚に見つめる。
これが舎兄のあるべき姿だよな。
憧れるなぁ…、俺もこうして舎弟を引っ張れる存在になれるかな。
 

「こっちはこっちで現状を確認しねぇとな」


ヨウは努めて冷静に状況把握を始めた。

もし何か動きがあればすぐさまブログで情報を流さないと。

不良狩りなのか、それとも別の輩の仕業なのか、どちらにしろ自分たちを好く思う輩ではないことは確かだろう。


そうのたまう舎兄に便乗してワタルさん達も状況把握を始める。
 

俺も何か手伝えることはないかと動くんだけど、扉はワタルさんとモトが、室内詮索はキヨタが、格子窓がヨウが見やっているため、役目がなにもない。


取り敢えず舎兄と窓の向こうを観察。

限られた視界に大した変化はない。

道路の向こうで車が行き交いしているだけだ。

外に敵って敵はいないようだ。いや格子窓から見えない位置に敵がいるのかもしれない。


「倉庫内部にいる可能性もあンな」


舌を鳴らすヨウ。
そうだな、内部にいるって可能性もある。