コンビニ跡地付近から五分ほど歩いた俺達は、都市交沿いの貸倉庫に赴いていた。

如何にもボロそうな貸倉庫は現在【テナント募集】らしい。

表の看板に表記されている。

都市交沿いにあるだけあって交通の便狙い、つまりビジネス向けの貸倉庫になっているようだけど皮肉なことに売れていないみたい。


原因はきっと立地にあるんだろう。
 

此処の貸倉庫は道路沿いにあるのはいいんだけど、車の出し入れがすこぶる出しにくい場所にあるんだ。

駐車し難いっていうかなんというか。


貸倉庫もトタン板が建物のボディを囲うように貼り付けられているから、見栄えも悪いし錆びているところも目立つ。とても古い貸倉庫のようだ。


多分此処付近だとキヨタは自信なさ気に告げ、俺をチラ見。

舎弟の頭に手を置いて、

「お前の読みは的中していると思うよ」

もう少し自信を持てと一笑する。


ニッと満面の笑みを浮かべるキヨタを余所に、俺は周囲の景色を観察した。

此処なら確かに都市交が見えるし、近くにアスファルトで作られた人工橋もある。

この倉庫に監禁されていた可能性は大きい。


だって此処なら俺がどんだけ大声を上げようと、声は車のエンジン音に掻き消され、周囲に届かないだろう。


だからぁああああああれはあああぁあ!


俺は大音声を上げた。
 

どうしたと全員がこっちに視線を流してくるけど、俺は目を輝かせながら倉庫の奥地にBダッシュ。

トタン壁に寄りかかっている放置自転車に歩み寄り、「こ。これは」見覚えのあるボディにハンドル、そして高校のステッカーが貼られたそれ。


名前までしっかり表記されているその自転車を確認した俺は目を潤ませて、

「会いたかったよぉおマイチャリ!」

自転車に飛びついた。
 

「お前無事だったんだな! てっきりスクラップにされているかとっ…、タイヤはパンクしているけど疵は浅い。良かったぁああ! すぐ修理して乗ってやるからなっ!」


本当に良かったっ、俺、ここ最近徒歩通で苦労していたんだよな。

何よりも出費が少なくて済む。マジで良かった。

アイラブチャリ!
田山はこれからもチャリを愛し続けるからなっ、それこそカーよりもチャリを愛してやる!

俺は地球を大切にする男。

エコカーよりもエコチャリで環境に貢献するのであーる!