「ケイさんはコンビニ跡地付近にいましたっス」
キヨタは丸印の一つを食指でさし、説明を始める。
「ワタルさんの仮説を元にすると、監禁されて倉庫って目と鼻の距離だと思いますッス。運んでいる最中に俺っち達と鉢合わせになったら洒落になりませんし。
ケイさん、倉庫ってどんな感じでしたか? 駐車場は?」
なにか特徴があれば些少のことでも教えて欲しいとキヨタ。
移動範囲は限られているんだ。コンビニ跡地付近を中心に倉庫を探していけば、必ずそこに辿り着ける。
結論を出す舎弟に俺は頭部を掻いて呻く。
言いたいことは分かるんだけど、特徴って言ってもなぁ。
俺が倉庫の外を眺めていた景色はまったく思い出せないし、外に放置プレイされていた時も時間は夜。
周りは真っ暗だったし俺の意識も朦朧気味。
なにより雨が降っていた。
記憶はおぼろげだ。
「だったらシラミ潰しじゃね?」
ヨウの手っ取り早い提案に、それしかないとワタルさんも同調する。
だよなぁ、それしかないよな。
申し訳ないけど、倉庫って点しかまったく憶えていないもん。
「なあケイ」
と、モトが俺に声を掛けてきた。
「何?」キンパ後輩に視線を流すと、
「あんま思い出したくないだろうけど」
なんであの時、オレ達にヒントをくれることができたんだ?
モトが素朴な質問を飛ばしてきた。
ヒントというと、ああ、あれか。俺の居場所を伝えるあの時の。
確かヨウ達に伝えたのは都市交と橋だったな。
何でも何も俺は俺で必死だったんだよ。
里見の目論みは一週間俺を監禁して再起不能にしてしまうことだった。
本当に再起不能にするまで、甚振ろうとしていたキャツ達だから俺もどうにか逃げ道を探そうと必死になって。
「あ。そういや」
格子窓から都市交を見たんだっけ、俺は首を捻る。
景色は記憶にない、でも見たって記憶が薄っすらぼんやり蘇ってきた。
「ちなみに橋ってのは、俺を暴行していた不良達が会話しているのを聞いて伝えたんだ。あいつ等、バイクで橋を通って倉庫まで来たって言っていたから。近くに橋があるんだなぁって」
「ということは都市交が見えそうで、近くに橋がある場所を探せば一発じゃないぽん? しかもコンビニ跡地の近場といえば……、こっからは土地勘のある二人に任せるぽーん」