………あーん?
「事故でも普通はさ。女の胸に倒れ込んだら、期待しちまうじゃねえかよ」
その、どういう感触かなぁとか、弾力はどんくらいかなぁとか、ふわっとしたあれがあるかなぁっとか。
そういうの、あの女にはなかったしさ。
まあ、ないわけじゃなかったけど。貧乳っての、悪くはないと思ったけど。
でも俺はどっちかっていうと巨乳の方が好きだしな。
あの女の胸、片手で掴める程度くらいだったし。
実際掴んだわけじゃないけど目測と感触はそんな感じだった。
「やっぱ女は巨乳に限る。もうちっと弾力が欲しい」
「お、お前…、俺っちの兄貴を怒らせる天才だな。ない、今のは…、ないぞ」
「へ?」熱弁していた谷がキヨタのツッコミによって我に返る。
俺の顔を一瞥した谷は、しまったという顔を作り、そろそろーっと右手で口元を押さえた。
で、開き直ったように男のロマンを語っただけだと言った。言い切りやがった。
そうか、男のロマンか。
分かる、すげぇ分かるさ。
男は女体に何かしら魅力を抱くもんな。
でもな谷。
俺はココロの彼氏なんだ。OK?
つまりだ。
そんな熱弁をされて平然でいられる男じゃないってことだ。
なんっつった? 胸ぺったんこ? 弾力? 期待?
彼女のどっこを見て、ナニしてやがるんだいど阿呆!
エッチ、助平、変態!
俺だってか、かぁあ、彼女の胸はまだ、まだ、まだなっ、うわぁあああ!
「そ・れ・が疚しくない発言とでもお思いになっているんでしょうかね! え? この野郎のドチクショウぉおお! 変態、ヘンターイ!」
側にいる谷をバシバシと上靴で叩く。
俺が動いたせいで矢島がこっちにバランスを崩すけど構ってられねぇ! この男、許すまじ!
「ちょ、痛ぇってパシ! いいじゃねえかよ! 減るもんじゃねえんだし、ただの事故だしっ! どうせ普段は自分が堪能しているんだろ!」
「た、たんの…」
「ナニ? まさかまだなのか? あの感触を実感してない、と?」
「ッ~~~…お、表に出ろぉおおお!」
「け、ケイ! アンタ、まだ怪我が治ってないんだ! ちょ、落ち着けって!」



