シズの話を聞いて俺はモトに礼を言った。
俺の代わりに、いや弟分としてあいつを止めてくれたんだからな。
けどモトの奴、礼を言った俺に「アンタはむちゃくちゃだぜ」と毒づいたっきりで礼を受け止めてはくれなかった。
寧ろ、自分がまだまだだってことに気付かされたと鼻を鳴らし、思い切り俺をライバル視してきたよ。
ヨウを超えるとデカイ目標を掲げているモトはまず俺を超えないと話にならない、なーんてしかめっ面を作っていた。
んなことないさ、お前、誰よりも成長していると思う。
ヨウを止めてくれた時点でお前はあの頃以上だよ。
ありがとうな、ヤーな憎まれ役を買ってくれて。
最後に里見達の情報だけど、重要なことは何も掴めていないらしい。
俺が残した生徒手帳のキーワードと『B.B.B』の情報だけじゃ、奴等の消息も実体もハテナ。
結局里見達が何処で何をしているのか、今どういう動きをしているのか、サッパリなんだ。
通信制高校は良いキーワードだと思ったんだけど……、情報通の弥生や利二、タコ沢でもお手上げらしい。
もっと相手に関する個人情報が欲しいところらしいんだ。
特にタコ沢に関しては不良の内情が専門だから情報収集には苦労しているらしい。
ご尤もではあるんだけど、接した俺もこれいった情報は持っていない。
申し訳ないけど、仲間の腕を信じるしかないんだ。
三歩進んで二歩下がっている状況下にいる荒川チーム。
今の俺達にできることといえば、里見等からまた利用されないよう警戒心を募らせることだけ。
神経をいかんなく研ぎ澄ませておかなきゃなんないから、すっげぇストレスだったりする。
どうにか解決の糸口は見つからないものかなぁ。
日々の状況に不安を抱くけど、こればっかしはどうにもならないよな。
小さな溜息をついた俺は保健室のベッドで深い溜息をついた。
あ、なんで俺が保健室のベッドに横たわっているかというと、うん、ちょっち体調不良……、という言い訳のサボり。
単に体がだるかったんだ。
まだ体は本調子じゃないらしく、生活のリズムが掴めずにいる。
夢見も宜しくないせいだろう。
チームに戻ってからの数日、全然眠れなくなっちまったんだよな。
寝ても悪夢を見て飛び起きるという、どんだけトラウマにしてんだ? 監禁暴行事件。