―――…俺を励ますには十分過ぎる言葉だよ、ヨウ。
やっと心の底から笑えた。
半端者でも受け入れてくれる、舎兄に感謝したくなった。
わりと半端者って言葉を気にしてるんだろうなぁ、俺。
自分の置かれてる環境が変わり始めたから、余計不安が煽られて…、前橋の言葉を真に受けて…、怖くなったんだ。
「そうだな」
ちょっとは不真面目くんになるよ、俺はヨウに笑いかけた。
「じゃあキンパにするか?」
ニッと笑われて一変、俺はレモンを丸呑みしたような顔を作って血相を変えた。
「そ、染めないって! 不良デビューなんて到底無理だ、俺には無理っ」
「わーってる。ケイの性格じゃ染めそうにねぇしな。教師が煩そうとか理由を付けてな。
でも、テメェは半端で不安なんだろ?
だったら見た目はそのまんまで、ちょーいワルになってみようぜ。
大丈夫、テメェ、隠れて煙草も吸えるんだしさ。
ワルになれる。しかもテメェが納得いく、パッと見ぜぇって分からない、でもワルぶる方法が一つあるんだよ。俺に任せろ」
胸を叩く兄貴に俺は空笑い。
べつに俺、半端が不安であってワルになりたいわけじゃ…ほ、ほんとに大丈夫なのかよ。ヨウ。変にワルにしてくれるなよ。
てか、ワルデビューしたくないって言ったら怒るか? なあ!
でも、まあ…つっかえは取れた。
ヨウには感謝だな。気持ちを吐けて良かった。
「んで? ケイはそんなに飲み物を買って、ひとりで自棄飲みするつもりだったのか? ったく、ンなことで悶々するくれぇならさっさと吐けば良かったのになぁ。しゃーねぇ、付き合ってやるよ」
「え? ああ、これはパシリで頼まれて…あ、」
やっべぇ…、すっかりパシリのこと忘れてた。



