「それでケイを傷付けたのか?」
唸るヨウに何処吹く風の臼井。
それだけですべてを理解し、
「だったらそれだけの覚悟できてるんだよな!」
雄叫びを上げて、相手に向かった。
煌びやかに光る刃物を避け小手を狙う。
先を読まれていたようで、左の拳が飛んできた。
腹部に入るが、足を踏ん張り、顔面に来る右の刃物を素手で掴んだ。
皮膚と肉がすっぱりと切れ血が滴る。
走る痛みに頬を引き攣らせるが、しっかりとナイフを握り締めて相手の動きを怯ませた。
「テメェ等は本当にクソッタレだな。ケイのが根性あるぜ?」
寄って集って一人の人間をリンチなんざダセェ。
あいつはどんな相手だろうと、それこそ自分に敵わない相手だろうとっ、時には間違いを犯した俺に出さえ一人で向かってくる調子ノリだ。
ケイだって怖かっただろうさ。
一人で二日間も暴行されるわ。監禁されるわ。利用されるわ。
……っ、そんでも苦痛に耐え切りやがった!
テメェ等にそんな根性あっか?
ねぇだろ?
だからダッセェやり方で自慢してくるんだろ?
テメェ等なんざ舎弟の足元にも及ばねぇ!
「よくもケイをっ…、よくもっ、よくも!」
血で滑る手に力を込め、腕を捻ってナイフを取り上げたヨウは柄を持つと手早く相手にそれを返した。
ただし腕に…である。
利き腕に突き刺したことによって相手がうめき声を上げた。
非道だと言わんばかりの眼を向けられるが、ジョーダン話もほどほどにして欲しい。
最初に言ったではないか。
喧嘩を売るなら売られるだけの覚悟を。
仲間を傷付けるなら、傷付けられるだけの覚悟を。
リンチするなら、リンチされるだけの覚悟を。
当然している前提で行っている行為だろうな? と。
覚悟もクソもなくて、暇潰しに仲間を甚振ったというのならばそれこそタチの悪い冗談である。



