【隣町の流通倉庫跡地】
流通倉庫跡地となっているその場所だが、きっとそこは跡地ではなく、本当は何処かの小企業が所有しているのだろう。
入り口付近に大型トラックの姿が見受けられた。
小型だがクレーン車も視界に映る。
哀れなことに黄色のボディには『B』と青のスプレーで汚されていた。
器物損害の罪で訴えられそうだが、何ヶ月も放置されているのだろう。
動かした形跡は見受けられない。
もしかしてこの跡地を持つ小企業は倒産寸前なのかもしれない。
クレーン車やトラックが動かされていないということは、つまりそういうことだ。
傾き始めた日差しに照らし出されている哀れなクレーン車を脇目に、ヨウはバイクから降りて肩を鳴らした。
「頭は倉庫の中だろうな。やる前に挨拶はしておきてぇ」
喧嘩ってのはそういうもんだ。
言うや否や一足先に倉庫に向かう。
その際、自分のチームに声を掛けた。挨拶しに行くぞ、と。
「ヨウちーんも律儀だねぇ。この期に及んであーいさつなんて。ま、外にいた連中をこんな風にしといて挨拶もクソもないけどさー」
バイクから降りたワタルは生きた屍に視線を投げ、やれやれと両手を挙げた。
「お前も…共犯だろ」
手の指の関節を鳴らしながらシズが憮然と鼻を鳴らす。
自分だって共犯のくせに、したり顔を作るワタルはリーダーの後を追うべく駆け足。
浅倉チームが外で待機する中、荒川チームと称された少人数の不良達は倉庫に足を踏み入れる。
常に開放されている倉庫に足を踏み入れると、随分と不良が密集していることしていること。
さすがは三グループが合併した新手のクソ野郎チームである。
招かざる客人がいることに気付いたのか、何処からともなく誰だと言わんばかりに悪態をつかれた。
随分な物の言い草である。
喧嘩を売ってきたのはそっちなのに。
無視して奥に進むと挑発まがいの空き缶が投げ飛ばされてきた。
紙一重に避けたヨウは憤りも見せず、トップであろう三人の姿を最奥に見つけ爪先をそちらに向ける。
「テメェ等が『B.B.B』の頭か?」
仲間達と共にジベタリングしている向こう三人に聞く。
右から臼井、風間、和白。髪の色が順に赤、金、青とまるで信号機のようだ。
『B.B.B』は信号族なのだろうか。
だとすれば小洒落た名前をつけることも頷けるもの。
ヨウの問い掛けに、逸早く反応したのは臼井である。
最近ワタルを奇襲させた主犯なのだ。ヨウのことは容易に見抜けるだろう。
肯定の答えをする臼井は冷笑を浮かべ、白々しく何か用でもあるのかと目を細めてくる。
ピクリとキヨタが微動するが、ヨウはそれを制して言葉を重ねた。



