必ず戻って来ると言った相棒。

では自分は必ず仇を討つと此処に誓おう。


相棒が目覚めた時、見舞い品として仇を取ったと笑って報告してやるのだ。

きっと相棒はやや困ったように眉を下げ、申し訳なさそうに自分の非力さを嫌悪し、そしてつられて笑うだろう。


元気になったらまた調子ノリとして、大事な友達として、自分の最高の相棒として、傍にいてくれたらと思う。

 
(大丈夫だ。ケイは戻って来てくれるっ…、俺は舎弟を失っちゃねぇ)


過去に経験した仲間を失った恐怖が込み上げ、今の気持ちとシンクロする。

かぶりを振り、失神間際に約束してくれた舎弟の言葉を思い出したヨウは重たい息を吐いた。

舎弟が持っていた25セント硬貨をジャージのポケットから取り出し、それを指で弾く。


真上に舞う硬貨は重力に従って落下、右の手で掴み、硬貨を見つめる。



(ケイが繋いでくれた奴等の影。ぜってぇ逃さねぇ)



不良狩りをしている輩の尻尾を絶対に掴む。 

側らにいたであろう鳥が羽ばたいた。

それが雀なのか、カラスなのかは分からない。ただ羽ばたいた理由が買い物から戻って来た響子と弥生のせいだということは理解できる。



「ヨウ。何しているの?」



弥生の問い掛けに、気分転換に外で一服していたのだと素っ気無く返すヨウは部屋に戻ると早足で中に入って行く。


「ヨウ…」


息を漏らす弥生に感化され、響子も溜息を漏らす。

リーダーは自分の心境を見定められたくないのだろう。


「いっちゃんダメージを受けているのは、ヨウなのかもしれねぇな。
ヨウはケイを見つけた、第一発見者…、そりゃショックだったと思うぜ。そんな素振り一抹も見せねぇが。随分無理してやがる」


「ただでさえ仲間意識が人三倍高いしね。それに…、ヨウはケイの舎兄。二人ってすっごく仲がいいから無理しちゃうのも分かるよ。
でも…、今のヨウ、なんだか怖い。平気で人を傷付けそう。

……響子。ヨウ、どうにかならないの? なんだか見てられないんだけど」


「今のうち等じゃ無理だ。何言ったって聞き流すだけだろうさ。
元のヨウに戻せるのはケイくれぇだろうな。うち等にできることは、あいつが暴走しないよう見張ってやることだ。なんかあったら引っぱたいて止めればいい」


「それができるのは響子くらいだよ」


意気揚々と答える響子に、苦笑いする弥生だった。