青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―



目尻を下げる利二だが心中は穏やかではなかった。

荒川も勿論心配ではあるが、一番の友がこんな仕打ちを受けてしまった現実に怒りを隠せない。


同時に憂慮を感じた。
友の性格上、この事件は深い傷になるだろう。

トラウマになるかもしれない。

再起不能とまではいかないだろうが、傷になるには違いない。犯人はそれを狙っていたのかもしれない。


そう思うと、今度の敵は過激な知能犯だ。




「っ…、…い、…」




聞こえてきたうわ言。それはベッドの住人からだ。

キヨタが慌てて顔を覗き込む。

「ケイさん。どうしたんッスか?」

声を掛けると、じわりと瞼を持ち上げ、荒呼吸を繰り返すケイがそこにはいた。

脂汗を滲ませている彼は、どうにか身を起こそうとしている。


先程の行為を繰り返しそうだったため、

「此処はシズさんの部屋ッス」

だから安心していい、とキヨタが止めに入る。


相手には伝わっていないらしい。

キヨタの体を強く押しのけて、「でなきゃ」出口に向かって歩き出そうとする。


しかし彼の体を崩れた。
すかさずモトが体を受け止める。


「ケイ。もういいって。ヨウさん言っただろ? アンタを迎えに行くって。だから…、カッコつけんなよ」


肩を上下に動かすケイは、「ちがうんだ」蚊の鳴くような声で囁いた。

モトの言葉を否定したかのように思ったが、「それはおれじゃない」ちがうんだと繰り返し呟く。


そいつは俺じゃない。利用しようとしている奴等なんだ。


かえらないとまた始まる。屈辱の時間が。

今度は何をされるんだろう。

痛いだけならまだいい。
あつかったら嫌だな。


あいたい、皆に、会いたい。かえりたい。


―――…あれ、幻覚が見えてきた。皆がそこにいるような気がする。


これは夢か。

あ、ゆめか。目が覚めたらまたきっと。

おれは都合のいい夢をみている。そうにちがいない。壊れる前にかえらないと。

 
朦朧とした意識の中で、感情的になるケイにモトはアンタは馬鹿だな、と泣きたくなった。

とっくに帰ってきたのにそれすら分からないなんて。


「まだアンタの中じゃ」


監禁されてるんだなっ、どうしたらいいんだよ。
どうしたらアンタは監禁から脱することが出来るんだ?
 
モトの疑問に正解は見出せなかった。