利用されるくらいなら、どんな虚勢を張っても自我を保ち続ける。

簡単に人間は壊れないんだよ。

トラウマを植えつけようとしても、痛みを与えようとしても、何をしようとしても。

それが俺のできる精一杯だから、手遅れにだけはさせない。

仲間が傷付いたら誰よりもヨウが傷付く。


それを知っているから、俺は帰らないと。


(っ、どっからこんな力が出るんだよ。ケイ! 暴れるなって!)

(ほんっとお願いっスから! そんな体で暴れたら悪化しますっス!)


帰りたい、仲間の下に。


(ケイさんがっ…、もしかして帰ろうとしているところって。私達の…ところ?)


帰りたい、仲間の下に。


(ッ…、ケイ! アンタは帰って来たんだぞ! もう、もう大丈夫だから!)

(何も心配いらないっスよ! 貴方は今、チームにいます! …あ、ヨウさん)


かえりたい、なかまのもとに。

いまがチャンスなんだ。みんなのもとにかえれる、チャンス。



(ケイ、大丈夫だ。必ず俺達が迎えに行くから、少し休め)



―――…迎えに、ああそうか、ヨウ達は気付いてくれたんだ。俺が利用されていることに。
 

そうか、気付いてくれたんだ。

じゃあ俺は時期に帰れるんだな。迎えが来る…、ほんっとあいつ等には手を焼かせてしまって申し訳ないけど、もう安心だ。


会える、皆にまた会える。

舎兄に、舎弟に、彼女に、仲間に。皆に会ったら最初に言わないと。


ごめんとありがとうを。


そして不良狩りに気を付けてくれ、と。


なんか安心したら超絶にねむくなった―――…。