「あの舎兄弟は異色の舎兄弟として名を挙げている。
何故、異色と言われているか知っているか? 不良の荒川に対し、舎弟は地味なナリをしている。所謂不良じゃないフツーの野郎と荒川は舎兄弟を結んでいる。パッと見、パシリにも見えるそうだ」

 
……わーるかったな、パッと見パシリくんみたいで。
 

「だがナリに反して、舎弟は荒川の“足”として活躍を見せている。……ナリは、敵を油断させる向こうの策略かもしれないな」


ははっ、油断? 策略? 俺は単に地を貫こうとしているだけですが?


『不良の舎弟になる=不良にならないといけない』


なーんて方程式、誰が作ったよ!
高校在学中は髪染めなんてぜぇえったいしないんだぞ、俺!

だって教師が煩いじゃんかよー!
 

「あん達が舎弟の名前を使い、噂を立てるのはいいが…、舎弟のナリのことを盲点としていた。
なにせ、あん達のナリがこれだ。もっと地味にダサく真面目しないと、舎弟の噂を立てても、舎弟を知る者ならば、すぐに偽りだと見抜かれてしまう。

本物を目の前にすれば、教師や被害者もすぐ偽りだと見抜くだろうな。

向こうもこう思っているかもしれない。『噂の舎弟は自分のナリとはまったく反しているから放っとこう』と。食らいつくネタにすらされていない気がする」

 
「なっるほど、んじゃもっと俺等をダサくすればいいんだね! あんちゃん!」

「向こうのナリのように地味にして、本物かどうか分からないようにすれば、さすがに荒川も犯人探しを始めますよね!」
 
 
すっき放題っ、人のナリのことを言いやがって!
聞いてて超超チョー腹が立つんですが!

俺がダサいナリ?
バッカ真面目なナリと言え、真面目なナリと! 地味? もはやそれは俺の長所だよ、地味な俺だあい好きだぁああ!

心中でギリギリと歯軋りをしていたら、「じゃあ髪の色染め直さないといけませんね」青不良(短髪)の方が自分の髪を抓んだ。


「そうだなぁ」青不良(長髪)の方が同調。真面目なナリをするなら黒に染め直さないと…、ぼやくキャツの眉間に皺が寄った。

ははっ、嫌か? 黒嫌か?

日本人の象徴でもあるじゃないか、黒髪。
いっそのこと黒染めついでに、真面目になっちまえアホー!