俺は廊下の曲がり角から顔を出して、恐る恐る美術室前廊下を見やる。
 

そこには、うっわぁ…、見るからに不良って輩が三人もいらっしゃるんだけど。

チョー近寄りがたい不良がいらっしゃるんだけど!

 
ハジメよりも深い銀髪、いや灰色髪不良と(こいつがリーダーっぽそう。しかも顔が綺麗顔だ。イケメンっぽい)、残り二人は青髪不良。


片方は短髪で、片方は長髪。髪を一つに結ってる。


灰色もありあえないって思うけど、青もないと思うぜ。目には良い色だからって青はないよ、青は。日本人の髪染めは無難に茶だろ、茶。ギリでキンパだろ。

何を思って青に染めようと思ったよ。
俺だったら死んだって青になんか染めないけどな!

こんな凡人の顔には絶対に青なんて似合わないもん!

キンパだって似合うかどうか怪しいとこなのに!
  

まあそれは置いておいて、んー、あいつ等…見た目からして新入生…、んにゃ同級生もしくは上級生だろうな。


息を潜めて俺は会話を盗聴しようと努める。

向こうは俺の存在に気付かず、話を続けていた。
  


「恐喝の噂を流すのはいいが…、もしかしたら向こうは受け流しているかもしれんな」
 


灰色髪不良は眉を八の字に寄せて腕を組む。
 
有名な分、色んな噂が立てられるもの。微々たる噂は受け流しているのかもしれない、灰色髪不良は神妙に語った。


この時点で、(偽)田山圭太の犯人が俺の中で確定したわけだけど、今は考えるよりも相手の話に集中することが先決だ。
俺は会話に聞き耳を立てる。


「誤算もあったしな」


灰色髪不良は小さく吐息をついて、視線を窓辺に流した。


青髪不良二人が「誤算?」首を傾げる。
深く頷く灰色髪不良は目を細めて、重々しく口を開いた。