ココロは正門にいなかった。


まだ終わっていないのかな?

首を傾げていた俺だったけど、正門向こうに彼女と+αを見つけ見事に引き攣り顔を作る。

だってココロの奴、まーたあの似非爽やか青年の五反田と駄弁っていたんだ。

しかも頭を撫でられ、撫でっ…、はい落ち着け俺。


嫉妬なんて情けないことはしちゃいかんのですよ。

おっもしろくない光景だとしてもヨユーのある男じゃないとな。


そう、ヨユー。ヨユーを…、あの野郎、いつまで撫でてやがるんだい!

圭太怒っちまうぞ! プンプンだぞ!


うわぁああ、ハジメと弥生のラブラブを当てられてイッライラしていた矢先のこの出来事!

めっちゃ腹が立つー!

 
「(弥生。ケイ、嫉妬しているけどいいのかい? 早くココロを呼ばなくて)」

「(いいんだよこれで。わざとイッチャされた後のこれは、ケイも堪えるだろうし)」


背後の二人がなにやらひそひそと話しているけど、俺の耳には入らない。

チャリをとめると、フンと鼻を鳴らして腕を組んでそっぽ向く。

野郎と話すなとは言わないさ。

ココロだって束縛されるとか真っ平ごめんだろうからな。


だから我慢するよ、我慢は。


ただし俺も人間だから機嫌が悪くなるのはしょーがないことだぞ。

ブラックリストに載っている人間と楽しく談笑されて、しかも俺の姿に気付かない、じゃあ、俺だって機嫌損ねるっつーの。
 

早くココロが気付いてくれることを願いながら、いつまでもぶう垂れているとようやくココロが駆け寄ってくる。


「遅くなりました」


ごめんなさい、いつもの笑みを向けてくるココロは背後にいる五反田に手を振ってバイバイと挨拶。

バイバイと手を振り返す五反田と視線がかち合い、キャツはあくどく笑っってきやがるという。
 

俺は心中で握り拳を作る羽目になった。
 

あいっつ、俺の姿に気付いてやがったな。

わざとココロを引き止めてッ…、うっわぁあああ、腹が立つ! またもや腹が立つー! 


ちょ、落ち着け俺。


ヒーヒーフーッ。
ヒーヒーフーッ。
ヒーヒーフーッ。


うっし、落ち着いた気がする。

あくまで気がするだけだけどな!