「モトと俺っち、別クラスっすよ。多分アイツは先に体育館に行ってるんじゃないかなー」


あれまー、そうなのか。

二人っていつも一緒にいるイメージがあるからてっきり一緒かと思った。

やっぱ変な感じだな、二人がワンセットになってるだけにさ。


「ありゃりゃ、クラス別になったのか。でもまあ、休み時間になれば会えるしな。1年って今日も午前中だけ?」

「そうっス。この1週間は午前中だけっス。だから放課後はモトとちょい遊びに行こうって約束してるんっスよ」

「んじゃ、昼休みは体育館裏に来れないんだなぁ。あ、そうそう俺達、昼休みは大抵体育館裏にいるから。いつでも来いよ」


「はいっス! ケイさんがいるところ、俺っちは何処にでも行きますっス!」


……ははっ、今日も熱烈に愛されてるねぇ、俺。
 
 
こんなジミニャーノを慕って尊敬してくれるの、キヨタぐらいだぞ。

ほんっと一途に俺の背中を追い駆けてくれるんだよな。

最初こそ弟分にしてくれって言われた時は嘆きに嘆いて利二に思わず泣きついたけど、今じゃ可愛い俺の弟分だ。


相変わらず俺を美化して見てくれるところがあるけど(例えば「ケイさんの心は世界でイッチバン男前なんだ!」とかな)、内心では可愛い弟分だって思ってる。


 
いざという時には、精神的に支えてくれたこともあったしな。


ま、腕っ節のあるキヨタに弟分なんて言っていいか分からないんだけどさ。

だって兄分がこんなへなちょこだから…、キヨタは「問題なのは手腕じゃない!」って言ってくれてるけど、不良の兄分って言ったらやっぱ力量重視だろ? なあ?
 

おっとチャイムが聞こえてきた。

 
やっべぇ、確か最初の授業…、前橋の政経(政治・経済)じゃんか!

あっちゃー、あんな風に啖呵切って出てきたもんだからっ、教室に戻り難いな。

こうなったらサボっ、待て待て待て初っ端からそれはやばい。やばいぞ。


今年はマイペース且つ真面目に授業を受けると決めているじゃないか! 三年で泣きを見るぞ!

……でも行きたくないなぁ。一回くらい許されないかなぁ。