「それでいいの?! いいわけないでしょ!」


一喝した弥生は上体を戻すと、「ぶっちゃけさ」ココロとケイって何処まで進んでいるの? と、目を細めた。

赤面するココロはいきなり何を言い出すのだと、あたふたあたふた。


再三再四尋ねてくるため言葉に窮する。

「何処までって」

その、あの…、フォークで最後のお楽しみとっている苺を突きながら、キスまでと小声で答えた。

「ディープ?」

更なる質問にココロはピシッと硬直する。

ディープ、とはキスの種類のこと。

純粋と言われている自分だがアダルトなことも意外と知っていたりいなかったり。


とんだ爆弾質問にココロは大きくかぶりを振って、「そ。そんな!」ドラマみたいなキスはしたことないと声音を張った。
 

「なななななんて質問するの弥生ちゃん!」

「フツーじゃんか。やっぱりそこまでは進んでいないんだ、二人。うぶいのは分かっていたんだけどさ」
 

もしかしたらディープを交わしているかもしれないと思い、質問したのだと弥生は悪戯っぽく笑う。

そういう弥生はどうなのだろうか。

ジトーッと物言いたげに視線を送ると、「エッチはしてないよ」と真昼間から大人発言。


ということは、彼女とハジメはそれなりに…、友達同士の恋愛事情を聞いたココロは顔を真っ赤にさせて、「おぉお大人です」身を萎縮させる。


身近にこういう同級生がいるとリアクションに困ってしまうものだ。経験の差が物をいっているのかもしれない。
 

「まあ、弥生は弥生。ココロはココロ。それぞれペースってのがあるからな」
 

やんわり二人の会話に割って入った響子は、「安易はよしとけよ」馬鹿見るのは女なのだから、と苦笑する。

これこそ経験者の語りなのだろう。

その昔、エンコーをしていたと聞いているため、ココロはどう気遣えばいいか分からず、曖昧に笑うほかできない。

一方、弥生はやっぱり不満だと溜息をついた。
もう少し、カレカノの時間が欲しいと唸る始末。