ナニ、カッコつけて前橋に喧嘩売るような言動をっ…、昨日から前橋に喧嘩売りっぱなしだぞ、俺。
センセイに喧嘩を売りつけたらクソメンドクサイことになるから、表向き良い子ちゃんぶるってのがジミニャーノのお決まりじゃないか!
嗚呼、表向きYesの良い子ちゃんを貫き通して早16年、あ、もうすぐ17年。
次いで、不良達とつるみ始めて1年。
たった1年というカタチで、表向きYesの良い子ちゃん法則が崩れちまうなんて。
自制が利かなかったとはいえ、自分から面倒事を増やしてどーするんだろ、俺。自己嫌悪だ。
やっぱ俺、不良に感化されてるのかなぁ。
んでもって、アリエネェっ、俺の名前を悪用する奴等っ…、なんで…、なんで、よりにもよって俺の名前を悪用する!
他の奴等を巻き込むつもりは無いけどっ、でもでも、名前を悪用してメリットがあるといえばヨウの名前とか、ワタルさんの名前とか、シズの名前とか。
地元で有名な不良の名前を使うもんだろフツー!
そりゃ確かに俺はヨウの舎弟だから、悪用する価値はあるだろうけど、俺じゃなくたっていいじゃないかー!
地味だからか?
俺が地味で喧嘩できないから悪用するのか?!
重々しく溜息をついて、俺は頭部を掻いて腰を上げた。
取り敢えず、これからどうしようかゆっくりと考え「ケイさぁああん!」ドン、ガン、ゴンッ―!
突如、あまり見慣れぬ廊下の天井が目の前にっ、あっれーナニが起きた?
てか、頭と背中が痛いのは何故でしょう?
痛みで目から星が出たんだけど。
「アイデデっ」
こめかみを擦りながら上体を起こせば、ニーッと満面の笑顔がドアップで飛び込んできた。
あんまりにもドアップでアングルが合わない。
けど、俺にタックルをかましてきた奴はアングルが合わなくても分かる。
子犬のように尾を振って、いっつまでもキラキラと俺を見上げてくる後輩に俺は空笑い。
ポンッと頭に手を置いて、「よっ」と挨拶。



