だけどこれは時間が掛かると黒髪青メッシュ不良は苦々しく溜息をついた。
日賀野は半日で解決させたいんだろう。
だからちょいと時間を要してでも、最短の手で解決したいところだと意見した。
気持ちは分かるけど、そんな手…、健太が連絡をくれない限り無理だ。
あいつが直接電話を掛けてこない限り、こっちも動けない。
(健太…)
俺は震えている携帯を見つめる。
まだ着信が続いている携帯。それはヨウが粘り強く電話を掛けている努力の証だ。
バイブレーターが止まると、俺は携帯を開き、新規メール画面にする。
そして短い一行文を送った。
たった一言、これがあいつに届けばいい。
その思いでメールを送信。
あいつが読んでくれることを祈った。
その間にも、日賀野チームの面子が揃い始める。
雄叫びを上げ、なんで俺が此処にいるのかと吠えるイカバ。
面白半分にこっちを見てくる紅白饅頭双子兄弟。
ゲームに熱中していてまったく周り変化に気付いていないアズミに、ヨウの元セフレ・帆奈美さん。
各々の面子に日賀野が事情を説明し始めるけど、俺の耳には届かない。
とにかく祈った。
俺が送ったメールを読んでくれることに。
その一文はきっと健太にとって、「なんの悪意あるメールだよ」と苦笑いしながら、それでも俺との約束を思い出してくれるであろう一文だと思う。
頼むから読んでくれ、祈る気持ちでソファーに座り続ける。
震え続ける携帯の画面を見つめながら、俺はただひたすら待った。健太の連絡を。
「ヨウの舎弟…、ケイ…、でいい?」
カタコト口調で声を掛けられる。
首を捻るとソファーの背面越しに俺を見下ろしてくる女不良。
落ち着いた控えめな焦げ茶色の髪を持っているのは、日賀野のセフレ、んにゃ日賀野の恋人・帆奈美さんだ。
「え、ああ。ケイでいいですよ」
殆ど喋ったことないせいか、リアクションに困ってしまい、ぎこちなく笑みを浮かべてしまう。
その昔、ヨウと帆奈美さんのディープなちゅーを見せられたこともあるゆえ、やや喋りにくい相手でもある。まる。



