プッ、電話を切っちまう日賀野はフンと鼻を鳴らす。
ちょっ…、アータ何してくれるんだよ!
そんなことヨウに言っちまったら…、あ、ほら、また電話が。
ハラハラしている俺を余所に携帯の着信が鳴る。
しつけぇ野郎だと電話に出る日賀野は、「ンだよ」今暇じゃねえんだよと毒づいた。
「荒川、失せろ。時間が惜しいんだ。
あ゛? なんで俺が携帯に出るかだと?
プレインボーイの携帯に俺が出ちゃイケねぇのか?
いつ誰が何のために決めやがった?
ったく、今俺とプレインボーイはおデート中だ。邪魔するんじゃねえ。
いいか、今度電話掛けやがったらはっ倒すからな。貴様はお呼びじゃねえんだよ。
それともプライベートでおデートするのに一々兄貴様の許可がいるのか? 水差すんじゃねえよ阿呆が。一度地獄に落ちて来い」
「ひ、日賀野さんっ…」
「プレインボーイに代われ? そこは代わって下さいだろうが。誰に向かって口をきいているんだ?
人に物を頼む時はそれなりの頼み方ってのがあるだろうが。礼儀のなっちゃねぇ不良だな。
ま、どっちにしろ代わってやらないんですが?
今日一日、プレインボーイは俺とおデートだ。いいな、邪魔するなよ。馬鹿のためにもう一度言っておく。邪魔するんじゃねえ!」
苛立ちを発散させるかのごとく、日賀野は相手に嫌味毒言暴言を吐いて電話を切る。
「スッキリしたぜ」
意地の悪い笑みを浮かべ携帯を投げ放ってくる日賀野。
携帯をキャッチした俺は心中で大号泣。
なんでこの人は、こうも面倒事を起こしてくれるんだろう。
後日、この出来事をフォローするのは俺だぜ俺!
ヨウを宥めるのって超苦労するのに。
なのにっ…、シクシクと涙を呑んでいる俺に日賀野はトドメを一言を刺した。
「この事件が解決するまで、ずーっとおデートしてくれるもんな? プレインボーイ」
スンバラシイ笑顔で脅してきたよこの人! 断ったらフルボッコにしますってツラだなおい!
引き攣り顔を作る俺は軽く額に手を当て、
「まあ自分から乗り込んできましたし」
今回は解決するまでおデートしますよ、と返事した。



