喚き叫ぶ健太に俺は溜息をついて、その場でしゃがむ。

んでもって健太の肩に手を置き、「やっぱ相談じゃないか?」俺は助言した。

これはグズグズしていられない悪質な悪戯だと思うぞ。

一刻も早く手を打たないと、悪質な悪戯はエスカレートしていく一方だって。


あの文面を見る限り、健太が怖がっているのを面白がっているようにしか思えない。


「相談つったって」


なんて相談すりゃいいんだよっ。

ただ変な手紙が来て、見られているだけのことなのに…。
 

やけっぱちになる健太はまだチームに相談することを躊躇しているみたいだ。

尻込みするのはチームに掛けたくない負担を掛けさせてしまうからか。

それとも自分の立ち位置に遠慮しているからか。


健太は調子ノリを封印している。

チーム内じゃクールで通っているらしいから、きっと個性豊かな皆に合わせ、臨機応変に対応して自分を隠しているんだろう。


不良校に通っているしな、健太。

俺みたいに不良以外の相談相手、それこそ気兼ねないジミニャーノが傍にいないから、何かと悩みを独りで抱え込んでしまっている。そうに違いない。


チームを信じていないわけじゃない。

でも自分を曝け出すことが今更過ぎて畏怖している。

少なくとも俺の目にはそう見えた。


リーダーが日賀野だもんな、相談するにも勇気がいると思う。


どんなに頭で分かっていても行動すると理解は別物、健太はチームに頼ることが怖いんだ。気持ちはすごく分かる。俺もそうだったから。


「んじゃあさ。今日は一先ず帰ろう。お前も家の方が気が落ち着くだろ? 俺、家まで送ってやるから」

 
な?

声を掛けると、そうすると力ない返事がかえってくる。精神的ダメージが大きかったらしい。

さっさと家に帰した方が良いと思ったから、俺は健太をチャリの後ろに乗せてペダルを踏む。

「ごめん」マジ情けない、健太は弱弱しく嘆いて俺の方を握り直した。

そして言う、どうしてもチームに頼ることが嫌なのだと。

喧嘩ならまだしも、一個人の問題をチームに持っていきたくない。


自分のことだから自分で解決したい気持ちが優先してしまうのだと項垂れる。 

 
「お前にとってチームが居場所。だから変に問題を持っていって居場所を壊したくない。そんな感じでいいのか?」

「嫌ってほど的確に指摘してくるよな圭太」