俺はおやおやんと意地悪い笑みを浮かべて、毒舌の波子に視線を流す。

悪意ある俺の視線を受け止めた毒舌の波子は、視線だけで意味を察したのか右中指を立ててきた。お行儀が悪いお嬢さんだこと。

俺はニタッと笑みを送って、視線をそらすことにする。


「む、ムカつく」

なんであいつにいっつもリードされているのよ!


なんて盛大な独り言が聞こえたけど、俺は右から左に聞き流してお肉を頂きます。


あー美味い。

程よい肉厚とジューシーな旨味が舌を喜ばてくれるんだぜ。

胸もスカッとしているし、余計肉が美味い。美味い。


「人の良いところを見ないから逃げられたのかもなぁ。人を貶してばかりじゃ、人は逃げる一方ですよ。はい」

「ッ、田山! 聞こえているんだけど!」
 

「単なる独り言ですから」ヘボ山のことなんてお構いなく、俺は相手にそっぽ向いて健太の海草サラダを摘んだ。

「お前ねぇ」

どんだけ喧嘩売ってるんだよ、健太には盛大に呆れられたけど、先に喧嘩を売ってきたのはあいつだぜ? 俺は悪くない。


ギリリと奥歯を噛み締めてくる毒舌の睨みは総無視し、俺は昼飯を食べることに集中した。
  


⇒#02