「まあ、ターゲットは荒川だけじゃないしね。片割れの方も目を向けておかないと」


カズサはうつ伏せになって、ソファーの肘掛を抱える。

「早く強い不良を食らいたいなぁ」

バタ足で欲望を口にするカズサに、マッキーは黒染めした髪を乱してつまみ食いは禁物ですよ、と注意を促す。


「幾ら不良狩りが楽しいからって、貴方の行動はやや目立ちます。日賀野は周囲の変化に関しては聡い不良です。
狩るどころではなくなるかもですよ。
荒川の方はまだ気付いてないようですが」


「はぁあ、おかん染みた説教はやめてくれよマッキー」
 
「軽率な貴方の行動を注意しているだけです。人の注意は素直に受け止めてくださいな」


ぶうっと膨れ面を作るカズサだが、


「病み付きになるんだからやばいんだよ」


やめられないとまらないなんとかエビせんと一緒さ、悪びれるこもなく嘲笑を漏らす。


ポケットから25セント硬貨を取り出し、親指で弾いてそれを宙に放った。



「今度は何しようか。ミヤ。マッキー」



チリン。


硬貨は無情にも地に落ちる。


回る硬貨を見つめ、「何しようかな」楽しい不良狩りをカズサは考えた。


最高に楽しい不良狩りの方法を考え続けた。



⇒№03