放課後―。


おサボリした俺とキヨタは荷物を持って学校からトンズラ(だってグズグズしていると担任のお小言を食らう!)、たむろ場に赴いて仲間達と合流した。


散々泣いたキヨタの腫れ顔にワタルさんが大笑いして、「なあに」泣かされたの? と茶化してくるもんだから、某なんちゃってジミニャーノボーイは不貞腐れたりなかったり。


ワタルさんに次いで、たむろ場にやって来たモトが親友の顔に大爆笑。


「ガキ面が余計ガキ面だな!」


とか言っちゃうわけですよ。


ったくもう、野郎共は揃いも揃って人の泣き顔を笑うんだから…、デリカシーのない奴等だ。


むっすーっとするキヨタだけどリーダーの姿を捉えると、形振り構わず駆け出した。
 

ヨウの前に立つと、「俺っち。貴方にだけは負けません」と開口一番にライバル宣言。


いきなりなんだと目を見開いたヨウだったけど、お察しがいいことに、「おおっと」これはチャリの後ろ争奪戦か? おどけて俺を見やってくる。


「ケイ。俺の特等席がピンチじゃねえか。どうしてくれるよ」

「ちぇーっ、だあれも運転手になってくれないんだよ。ひどくね? 俺だって楽したいのに」
  

俺はおどけを返して、「今はなんちゃってだけど」これから本物にするつもりだよ、ヨウに微笑む。
 

「それだけの力量がジミニャーノにあるかどうかは分からないけど。こいつがついて来てくれるって言うから頑張るさ。―…なあ、舎弟」
 

するとキヨタは満面の笑みを浮かべて、いつもの調子で答えた。
 


「俺っちと貴方で本物にするんっスよ、兄貴!」






俺はヨウと成り行きで舎兄弟になった。

そしていつの間にか俺とヨウは本物の舎兄弟になっていた。


俺はキヨタと成り行きで兄弟分になった。

じゃあ、今度は俺とキヨタの関係を本物にする。


これは俺とキヨタの約束であり、誓いとなった。


俺とキヨタはここからだ。

ここから始まる。


そう覚悟を決めた、ある日の昼下がり。



⇒#08