俺にぶちまける感情は所々支離滅裂していた。
けれどその決意だけはしっかり俺の胸に届く。
「手腕は上がらないかもしれない」
でもあの人の人を纏めるカリスマ性、人の能力を活かせられるそのリーダーシップはいつか、いつの日かっ…、事件の時のように助けを待つだけの人間ではなくて。
兄分の力をいつも必要する人間でもなくて。
兄分の後継者として、兄貴をしっかり支えられると弟分になりたいのだ。
尊敬しているあの人のようになる。
いつもそれが目標だった。
けどあの人はあの人、自分は自分、得意不得意がある。
だったら自分なりにあの人の背を追い駆け、追い駆け、そしていつか追い越す。
堂々と肩を並べられるような存在になりたい。
赤裸々に告白してくるモトは、
「オレがヨウさんを避けていたのは」
キヨタに付き合っていただけなのだと更なる暴露話を始める。
そっと携帯を取り出す俺には気付く素振りも見せない。
「べつにオレ、あの事件があったからヨウさんを避けていたわけじゃないんだ。キヨタがアンタを避けているから、オレも付き合って避けていただけ」
でも、あんまりにもキヨタがウジウジ避けてっからオレ、言ってやったんだ。
『そんなに避けてどうするんだ』って。
そしたらあいつ、『分からない。どうしたらいいのかも分からない』とかほざきやがった。
あんまりにもムカついたからオレ、あいつに啖呵切ったんだ。
今からオレの決意をヨウさんに言ってきてやる。
だからお前もちゃんと兄分と腹割って話し合え。
じゃないとオレがケイの舎弟になる。
脅しじゃなく、本気で舎弟になる。尊敬するあの人を超えるために、あの人の舎弟に下についてやる。
寧ろ今からケイに舎弟志願をしてくる。止めたかったら、全力で止めて来いってな。
今頃あいつ、そっわそわしてるんじゃないかな。
オレが本当にケイの舎弟になるかどうかでさ。それでうんぬん悩んでいるに違いない。
「オレ自身もヨウさんをいつまでも避けていたくない。だから行動を起こした。ウジウジ悩むなんてキヨタらしくねぇから」
「なるほど。それで俺が呼び出されたのは舎弟志願のためか?
けど分からないな。お前がなんでヨウを後回しにして俺の下に来たか。そしてその決意表明をまず俺に伝えに来たのか」



