あー…、舎兄同士は仲良くなれる兆しもないようだ。
一方的に矢島はヨウをライバル視しているようだし、ヨウはヨウで言動のすべてに腹立てているし。
初対面から上手くいってなかったもんな。
ふっ、初対面で思い出す俺の可哀想物語。もう(ヨクナイけど)いいんだけどな!
済んだ事だし!
まだ悪評は継続中だけど、俺ちーっとも気にしている!
あ、しまった、うっかり本音が。
さてと俺達も行くか。
此処にいる失神している不良達は病院に連れて行くことにして、二人はたむろ場で休ませないと。
俺はキヨタに行こうかと声を掛け、膝をついてその体をおぶる。
「うぇっ」
い、いいですよ…、遠慮するキヨタに、よくないと俺は突っ返した。
こればっかしは俺の言うことを聞いてもらうつもりだ。
脇腹をバットでやられて平気な奴なんてまずいない。
だから無理やりおぶることにする。
最初こそ抵抗していたキヨタだけど、脇腹が痛んだのかすぐにおとなしくなった。
一先ずは一件落着ってところかな。
真杉って不良達のことで暫くごたごたするだろうけど、仲間は大事には至らなかった。
それだけで満足する結果だと思う。
だから俺はこれで今回のことは終わったと思った。
その時は思い込んでいたんだ。
けれど、この事件は俺等リトルブラザーにとってかなり後遺症をもたらせたらしい。
それに気付いたのは事件から三日後のことだった。



