「あ、その」違うんですよ、アタフタするココロに、「大丈夫だって」よしよしとケイが柔和に綻ぶ。

よってココロは唸り声を上げて、「ケイさんの馬鹿ー!」胸部を拳でポカポカ。


そんなに信用ないのか?

首を傾げるケイだが、そういう問題ではないのだ。そういう問題では。


受け身ばかりじゃ駄目だと諭されたココロは、懸命にアタックアンドアピール。


「け、ケイさん。私っ…、しゅ、習字! ケイさんの習字を見たいです!」

「え? ああ、毛筆? んーでもなぁ、腕が落ちてるだろうから…」


「で、でも見たいです! 書いてる、す、姿が見たいです! ……堤さんが見てるんですから…、その」


ケイは少しばかり驚いた面持ちを作るが、すぐに綻び、「分かった」下手くそになってるだろうけど明日にでも家においで、と承諾。

習字の腕前を見せてくれると約束してくれた。

ひなのと違い、瞬く間に約束してくれる彼氏にココロは頑張った甲斐があったとテレテレ。

達成感に満ち溢れている顔を作っていた。


「その調子」グッと握り拳を作る弥生、「頑張れよ」遠巻きに見守る響子、そしてその他オプションは溜息も溜息。


「なんで女って恋愛になった途端、目の色を変えて食いつくんだよ。女って怖ぇ」


ヨウの疑問もさておき。

これからの恋愛天気模様が荒れ模様にならないことだけを願い思う、野郎共だった。


⇒#05