「何食べるって…、うーんそうっスね。俺っち、焼肉定食ってのを食べようかと。カツ丼も捨てがたいっスけど」
「オレはかき揚げ定食にしようかな。サンプルを見る限り、すっげぇ美味しそうですし」
「モトはかき揚げ定食。キヨタは焼肉定食。うっし、分かった。おいケイ、キヨタは焼肉定食だってよ」
ヨウは自分の財布から五百円玉を取り出し、食券自販機に投入。
「え゛」表情を硬直させるモトの手に食券を落とすヨウは、次はお前の番だと視線をケイに流していた。
「焼肉定食な」五百円玉を投入しようとするケイに、「ちょぉおおお!」待って下さいとキヨタが大慌てで兄分の腕に縋った。
「え、もしかして変更? 今なら変更も聞くけど」
「いやいやいやっ、何してくれるんっスか?! なんでケイさん達が俺っち達の食券っ…、あ、まさか奢ってくれようと」
「ポンピーン。たまには弟分に贅沢させないといけないよなーってヨウと話していてさ。
まだお前達の入学祝もしてやってないし、ちっぽけだけどこれ、俺とヨウのささやかなお祝いな。お
前等、財布を奪っとかないと絶対奢らせてくれないしさ」
「じゃ、じゃあああっ、お、俺っち、かけうどんでいいっス! いいっスからっ!」
「うどん?」「はいッス!」俺っち、うどん大好きっス、うどんラブっス! 必死で安価なもの選ぶキヨタにケイは、うどんも美味いよなと一笑。
食指は見事に『焼肉定食』のボタンを押していた。
「うわぁああ!」高い焼肉定食を押させちゃったっスぅうう、キヨタの悲鳴なんてなんのその。
ケイはお釣りを財布に入れると、キヨタに食券を手渡した。
なんてこったい、新入生組はしてヤられたと動揺も動揺。
しかも先に食券を購入していた舎兄弟のメニューに罪悪感である。
「ヨウさんがかけうどんっ! かけうどんなんてっ!」
「ケイさんもかけうどんっ…、具なしっスか!」
ぎゃああああっ、自分達よりも安価な物を買っている!
揃って悲鳴を上げた二人だが、舎兄弟は気にした素振りもなく食券を係りの人に渡してしまう。
でもって、自分達の様子に笑声を漏らしていたのだった。



