「ないよな」「なー?」会話を交わしながらも、二人の闘争心は沸点に達しそうである。
噂を流した奴が特定できたら絶対に喧嘩を売ってやる。
兄分馬鹿っぷりをいかんなく発揮する二人の禍々しいオーラに、周囲の生徒達が身の危険を感じて距離を置いたのはいた仕方がないことだろう。
閑話休題。
二人が学食室前に到着すると、「あ。来た来た」自分達のことを待っている見知った人間がひとり、ふたり。
度肝を抜いた二人は大慌てで彼等の下に駆ける。
学食室前にいたのは、学校では有名過ぎるの異色の舎兄弟だった。
自分達の兄分がわざわざ学食室前で待っていたとは!
血相を変える二人だったが、向こうは然程気にした素振りもなく挨拶してくる。
「よっ。モト、キヨタ。皆はもう中にいるぜ」
「よ…、ヨウさん。中で待ってもらっていて構わなかったんですよ」
「そうっスよ! ケイさんも、中で待ってくれていて良かったのに」
すると舎兄弟は意味深にニヤリ。
なにやら目論みのある顔で二人を迎えてきた。
ヤな予感がするわけではないが、何かあるという予感はムンムンだ。
戸惑っている二人に、「お前等」財布出せ、と前触れもなくヨウが命令。
唐突過ぎることに二人とも目を白黒させるが、ヨウは有無言わせず財布出すよう命令。
傍から見たら立派なタカりだ。
しかし我等がリーダーに言われたら逆らえる筈もなく。
「大した金額入ってないですけど」とモト、「千円ちょいしかないっすよ」とキヨタ、揃ってヨウに財布を手渡す。
受け取ったヨウはニンマリと笑って、「それじゃ行くぜ」と二人を誘導。
行くもなにも財布がなければ何も買えないのだが!
しかしヨウはさっさと来いよ、の一点張り。
後ろからはケイが背中を押してくるし。
「さっ、入った入った。ヨウを待たせると煩いぞ?」
そんなことを言われても。
渋々中に入った二人は、ヨウに手招かれて食券自販機へ。
「お前等、何食うつもりだ?」
前触れもない質問に、これまた戸惑いを覚えた。



