ふーん、鼻を鳴らすキヨタはやっぱりモトは凄いと思った。
潔く弟分のままでいようとするその姿も、兄分の舎弟を受け入れる姿勢も、自分の非を認める姿も。
自分ならば何もかもを相手のせいにしてしまいそうだが、モトは謙虚に兄分の舎弟を受け入れて、仲間だと思っている。
昔のように兄分の舎弟のことで文句垂れることもなくなった。
あの頃、最初こそヨウが舎弟を作ったことに、モトはあれやこれやそれやどれや何かとイチャモンを付けていたというのに。
認めないとまで断言していたというのに。
今はこうして相手を受け入れている。
(ヨウさんを認めていないわけじゃないし、嫌ってわけじゃないんだけどな。あの人は本当に凄いって思っているし、ケイさんの舎兄はあの人しかいないと思っているけど)
だけどなんだこのモヤモヤは。
あの二人のバツグンのコンビネーションを知っているから、一々モヤモヤっとしているのだろうか。
理屈じゃ説明のつかない感情にキヨタはまた一つ溜息。
「若いなぁ」モトはキヨタの悩む姿に目尻を下げた。完全に空気は先輩後輩である。
「ま、ゆっくり悩めばいいじゃんか。ケイはキヨタ以外舎弟を作る気、さらさらなさそうだしさ」
「んー。ケイさんにも言われた、それ。情けないことに、チョー安心している自分がいるんだよな」
キヨタは自分の器の小ささに嘆きたくなる。
「あるある」
モトはよくあることだと励まし、聞こえてきたチャイムに昼休み会おうぜ、と軽く手を挙げた。
手を挙げ返したキヨタは授業の準備さえせず、ただただ地図を眺めて溜息。
早く弟分から舎弟に昇格したいものだ。



