「シズ。俺、時々思うんだ。此処にいていいのかってな。
……不安なのかもしれない。不良のようで不良じゃない中途半端な俺はいつか、ヨウ達に一線引かれちまうんじゃないか…ってさ。

皆を信じていないわけじゃないけど、やっぱ不安。今までジミニャーノしてたから」
 

「…自分は、皆…との関係に不安がある。居場所があったかい…だから、いつか壊れるんじゃないか…と」


中途半端に怯える俺と、居場所の決壊に怖じるシズ。

どっかで似た気持ちを抱いた俺達は口を揃えた。

クダラナイ悩みだと。


ヨウにでも聞かれたら大層呆れられるに違いない。


だけど俺達には重い悩みなんだよな、困ったことに。

青春してんなぁ、俺達も。


お互いにクダラナイと笑い合って、大丈夫だと視線で語り合って、いつしか会話が途切れる。


訪れる静寂に俺は心地良さを感じていた。

会話がなくても、気遣わなくて良いと思えるシズは俺にとってなくちゃなんない友達だ。


気を許していない友達だったら、今頃の俺は一々会話を盛り上げようと躍起になっているだろうし。
 

仰向けからうつ伏せになった俺は、続きを知るために読んでいた漫画を手に取る。

シズには何かしたいことがあったら遠慮なくしていい。


そう口酸っぱく言ってるから、漫画が読みたくなったら勝手に取るだろう。



暫しの間、漫画の世界に浸っていると、背中に重みを感じた。

視線を流したら寝ぼけたシズが見事に俺を枕にしてやがる。背中に頭を預けて、さっさとオヤスミモードだ。


お前な、ベッドがあるんだからベッドで寝ろって。


今日のジャンケン勝者はお前だろ? ベッドで寝てくれよ、重いんだけど。
 

心中で悪態はつくけど、俺は自分が寝るまで起こさないでやろうと微笑んだ。

チーム内では副リーダー、家族内では苦労人、学生内では不安一杯の同級生くんなシズ。

そんなシズにだって安らぐ場所があっても良いと思う。

不安さえ忘れられる、シズの言うあったかい居場所があったって良いじゃないか。


それが今の俺の背中なら、しょーがなく貸してやろう。


俺ってヤサシーな。