早々と田山圭太は現実逃避をし始めたぞ。
焦点が宙を漂っているぞ。
若干こめかみに青筋も立っているぞ。
わぁい、向こうには俺の天使が心配そうな眼でこっちを見てくれている。
なんで俺の彼女はあんなに可愛いんだろう。
目前の毒舌女とはエッライ違いだ。
同じ女の子なんだろうか?
嗚呼、俺、そっちに戻っていい? ココロに癒されたーい!
後で抱き締めて良いかなぁ。
と。
「アイッヅっ!」
思い切り脛を蹴られて俺は悲鳴を上げる。
よそ見してるんじゃないと馬場さんに叱られてしまった。
くっそう、毒舌に加えて暴力女か?
だったらお前、十二分に不良の素質あるよ!
不良の舎弟が言うんだから間違いない!
「だいったい田山! あんた、なんで高校の書道部に入ってないわけ?! 高校に進学したら絶対、書道部に入りなさいって言ったわよね!」
これっぽっちも記憶にございませーん。
入る入らないは俺の勝手じゃないですかー。
ははっ、第二の俺はいつでも最強! 表の俺は黙って聞くだけっ、超ヤサシー!
「書道部に入っていたら、あんたの天狗になっている鼻をへし折ってやるのにっ! いい? 此処には地区の書道大会が開催されているのよ? あんただって知ってるでしょっ、なのに、なにぃいいい!」
ということはなんですか? 貴方様は書道部に属していると?
なら良かった、俺は今後とも書道部に入ることはないので。
貴方様がいると知った以上、絶対の絶対に入らないからな、俺!



