青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「うん。あ、本人の前ではその呼び名を口にした事はないよ。口にしたら最後、シメられること間違いないから。俺、そいつに超恨まれてるんだ」
 

ガックシ肩を落とすと、「なんかしたのか?」ヨウは聞き手になってくれる。

なにかしたなんてそんな滅相な。俺はなにもしちゃないんだよ、なあんにも!

極力関わらないようにしていたわけだし。


敢えて言うなら、そうだな、「習字をやめたことかな」遠目を作って俺はポツリと吐露。


目を点にするヨウに、「馬場さんはさ」俺をライバル視していた。つまり、打倒田山だったわけだ。

その俺が中二に進級して、成績の悪さと進路の不安で塾に通わなくなったから習字をやめらざるを得なかったんだけど。

 
「めっちゃ怒ったんだよ、馬場さん。
『勝ち逃げする気でしょ。あんた。ざけるんじゃないわよ』とか言われてさっ…、どんだけ敵視されていたんだろ。俺」

「それって好意じゃねえの?」


「絶対にないからっ、鳥肌が立ったじゃんかよっ!
……ヨウも多分俺達のやり取りを見ていたら分かるけど、あれは好意の『こ』もない。それに馬場さんは彼氏がいたからな。

キッツイ性格なのになんで彼氏がいるのか、俺には男の気持ちが分からん。

やっぱ俺は優しい子がいい。ココロが天使に見えるほど、馬場さんの性格は鬼だ鬼。悪魔、大魔王、地獄の死者。ほーろーべー!」


「どんだけだよ。あ、ココロに連絡したのか? あいつ、テメェの発狂を気にしてたぞ」

 
兄貴の助言に、「この話。全部ココロにしてるよ」昨日の夜、電話で話したと俺は肩を竦めた。
発狂はしておいてもちゃんと彼女の事は考えているんだぞ、俺。

ココロって人三倍言動に気を付けないといけないデリケートな子だから、不安にはさせないよう気は配ったつもり。

ココロ自身だいぶん強くはなってるんだけどな。

ふっとした拍子にネガティブな気持ちが出てくるから。
自称根暗って言っていただけあるよ。


まあ、電話の様子からして、泣き言を漏らす電話の俺に始終オロオロ困ってくれた挙句、励ましてくれたから信じてはくれているだろう。


はてさて、それにしてもこれからどうするかね。

浩介の伝言では“会いたい”って内容を承っただけで、他に何も聞かされていないそうな。困ったなぁ。