青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


よっ。片手を挙げる俺に片手を挙げ返して、「ズルイって」透は俺達に文句垂れた。

「僕も休憩したい。荒川くんも圭太くんも、そんなところでサボってさ」

「んじゃあ来るか? 大歓迎だぜ?」

頭の後ろで腕を組むヨウが悪の道に誘ってくる。

「ペアがぼっちになるから」

真面目にこなしてきます、大袈裟に肩を竦めた透。

でも終わったら、そっちに行くと頬を崩して俺達に手を振って去って行く。

その際、

 
「荒川くん。今日こそは僕の絵にモデルになる話を「いや、マジで勘弁してくんね? 小崎」


今回も敢え無く絵のモデルを断られた透に“撃沈”という二文字はない。

寧ろ、「僕は諦めない!」こんな近くにイケメンがいるんだから、しかもクラスメートになっているんだから、絶対モデルになってもらうんだ!

不良なんて関係ないっ、だって圭太くんの友達だし僕には無害、と、闘志を燃やす一方。
 

「クロッキーでもいいから!」


絶対モデルになってもらうからね!

まるで宣戦布告のように腹筋測定の場へ向かって行く。

ほんっとあいつは絵が好きだよな。
そりゃあヨウのようなイケメンくんを書きたくなる気持ち、分からないでもないけどさ。


不良にモデルになれと押せ押せモードになる透って度胸あるよ。まじで。


ふふっ、だけど俺、実はこっそり嬉しいんだ。


俺やヨウを避けないで、クラスメートとして、友達として普通に接してくれてるんだから。

他に避けないで普通に接してくれるのは利二と光喜くらいか。

タコ沢は俺達に喧嘩を売ってくる奴だし、他の奴は普通に接してくれても“関わりたくない”オーラを醸し出すからな。

心置きなく話せるのは地味友三人くらいなもんだ。

ヨウもすっかりあいつ等と仲良くなってくれているし(性格的に馬が合ったのかもな)。


「小崎しつけぇよ」ゲンナリしているヨウに、

「一度くらいいんじゃね?」あいつの絵の上手さは目を瞠るぞ、と一笑を零す。


「丁寧に描いてくれるって。まあ、どんだけモデルさせられるか分からないけど。あいつ、一度凝り始めたらとことん追求するタイプだし。
……、馬場さんもそうだったな」

「馬場? ああ、毒舌の波子か」