沈黙を作る俺等に対し、向こうの担任と前橋が席に着いて、まず俺の頭を前橋が下げさせた。
アイテテテテッ、痛いイタイイタイ! 首の筋っ、筋がおかしくなるっ、イキナリなんだよー! ギブギブギブー!
悲鳴を上げる俺なんて無視する前橋は、
「こいつが恐喝をしたみたいで」
本当に申し訳ない、と新入生二人に詫びた。
はあ? 恐喝? ちょ、恐喝ってナニ?!
串カツは好きさ、トンカツも、ヒレカツも大好物さ。
けどっ、恐喝は俺の範疇外っ、ナニソレ、俺、してないっ、恐喝してないからー!
「お前も謝れ」
前橋に言われて、俺はタンマをかけた。
どうにか担任の手を振り払って「俺は何もしてませんよ!」大喝破の大抗議。
寧ろ、此処に来るまで恐喝の「きょ」も知らなかったっていうのにっ、なんで俺、生徒指導室に入らされるや否や、身に覚えもない謝罪をさせられないといけないんだよ!
抗議する俺に、「お前なぁ」この期に及んで何を言ってるんだと前橋は溜息をついた。
「今朝、登校してきたピッカピカの1年を捕まえて恐喝しただろ? この二人、『たやまけいた』って生徒に脅されましたって相談に来たんだぞ。
これからの楽しい高校生活を決壊させるようなことしただろうが。謝るのは当然だろ」
曰く、俺らしき生徒が昇降口にいた目前の新入生をとっ捕まえて、金を出せと脅したんだと。
カツアゲもどきっぽいことをしたらしい、俺。
新入生は怖くなって一目散に逃げたらしいから、カツアゲ未遂ってことだよな。
うわぁ、俺も超悪くなったな。
まさか人様の金を巻き上げるような、しかも新入生から巻き上げるようなことを…、まさしく不良の鏡に……待て待て待て!
「ちょ、待って、待ってくださいって! 今朝は遅刻ギリギリで、途中タコ沢…じゃない、谷沢くんとずっと一緒だったんですよ?!
どうやったら恐喝なんてできるんですか!
証人なら谷沢くん以外にも沢山います。俺と谷沢くん、朝からちょっとドタバタと騒いでいて、それを目撃する人達沢山いたんですから!」