愚図ついた気持ちを抱きながら、俺は机に頬杖をついた。
 

へーんな目で見られたくないから女子達には目を向けず(というか俺…拗ねてるかも)、黒板に視線を投げる。


あっという間に決まった班の隣に、係りの名前を書き始める前橋。
まず立候補から聞くぞ、なんて俺等に言いながらさらさらっと係りの名前を書き綴っていく。


係り決めかー、学級委員とかそういった目立つ仕事はヤだな。面倒だし。

んー、わりとサボりが多くなった俺だから、サボっても負担にならないような係りがいいな。



「前橋先生、ちょっといいですか」



と、教室に別の教師の声。
 
一斉に生徒が廊下側に視線を投げる。
そこには女教師の姿が…、うーん、うちの学年には見ない顔だから、他学年か?


手招きしている女教師に歩む前橋は、彼女とヒソヒソ会話。


なんかあったのかなぁ?

なーんて思ってたら、前橋が盛大に溜息をついて額に手を当てた。
 

「分かりました。すぐに生徒とそっちに行きます。申し訳ございません。
……お前等、俺は少しばかり席を外す。どの係りになりたいか、適当に決めといてくれ」

 
あら、前橋、ちょっとお席を外しちゃうの?

ラッキーといえばラッキーだけど、なんかあったのかなぁ。
 



「田山、お前は俺と来い」




次の瞬間、俺は目を点にした。

自分を指差して「俺ですか?」念のために聞きなおす。

「早くしろ」唸り声を上げる前橋に、俺は心中で大絶叫。


なんで名指しっ、俺指名?!

なんかしたか? 俺、何かしたか!
 

「おいおい、ケイ。何したんだ? 喧嘩か?」


ヨウが心配そうな眼を投げてきたけど、いやいやいやっ、俺は喧嘩できないし!


「お前が何かすると思えないが、取り敢えず行った方がいい」


そっと利二が助言してきてくれた。

うん、従うしかないだろうけど…、なに、この公開処刑もどきムード。