「やっと動き出した」
茶化してくるヨウだったけどすぐに真顔になって指笛を吹く。
あらかじめ分担されていたチームの一つを率いて、自分について来いと指示。
浅倉チームから借りたバイクに跨った。
「ケイ。乗れ」
俺達は楠本のいるエリアだろ?
ヘルメットを投げ渡してくるヨウに、頷いて俺は後ろに乗る。
今日の田山圭太はチャリを使いません。
え? 大丈夫か? ちーっとも大丈夫じゃないけど、皆を道案内をするのにはバイクじゃないと。
他のチームにはハジメ、それにキヨタがいるから大丈夫。
キヨタの奴、めっちゃテンパりながらも道を覚えてくれたんだ。
これから先もキヨタには道を教えよう。
閑話休題、今は時間も無いし、今回の喧嘩のメインは浅倉さん達。
荒川チームは出しゃばれないって。
この決着は浅倉さん達がつけないと意味がない。
「荒運転になっけど、ちゃんと指示しろよ。舎弟」
初めて乗るヨウの運転するバイクに俺は怖じていたりいなかったり。
いつもは俺がヨウをチャリの後ろに乗せている立場だから、なんだかヘンな気分。
チャリを運転する上ではヨウ、フツーなんだけどな。
それにお前…、大丈夫だよな? ちゃんと運転できるんだよな? 滅多な時じゃないと運転が見られないから、余計恐怖心が煽られるんだけど。
「事故らないでくれよ」
「ははっ、ダイジョーブだって。
ま、運転は激荒いけど。帆奈美を乗せた時でさえ嘆かれたくれぇだ。俺って大雑把な運転らしいぜ」
ほんっと安心できる台詞をドーモ。
おかげ様で俺はすこぶる心臓が泣いてるね。
寿命だけは縮ませるなよっ!
(……、それにしても大丈夫かな。雨、降りそう)
俺はこの喧嘩の行く末と、天気の悪さと、言い知れぬ不安に、ついつい分厚い雲を仰いだ。
あくまで俺達は補佐しかできない。
この喧嘩と因縁の決着をつけなきゃいけないのは、浅倉さん達…、そう、決着をつけられるのは元は一つのチームだった浅倉チーム―――…。



