「ここにきて浅倉さん達のチームメートに疑心を向けないといけないなんて。事が浅倉チームに知れたら、それこそ仲間割れの原因じゃないか」

「それが狙いなのかもしねぇぜ。ったく、メンドクセェ喧嘩だ。
ま、盗聴役がいてくれたら土地勘に優れている楠本の能力も至極発揮されるだろうな。なんたって奇襲できる有力な情報が入るわけだし」

「うぇえ、卑怯だぞ。それ」


ぶーっと脹れるキヨタは、全然喧嘩をしている気分にならないと不満を訴えた。

「俺だって同じだ」

タコ沢は不機嫌に肩を竦める。


ははっ、お前たちは正当な喧嘩を求めているわけね。

俺は喧嘩自体ごめんだけどさ!


「取り敢えず、荒川チームにだけ、このことを伝えねぇとな」


タコ沢は重い腰を上げて、休憩は終わりだと俺達に告げる。

仕切ってくるタコ沢に文句垂れているキヨタだけど、俺はタコ沢にちょっち微笑ましい気持ちを抱いた。

お前ってなんだかんだで荒川チームには絶対的な信頼を寄せてくれているよな。


やっぱお前も大事な荒川チームの一員だよ。

お前がいないと寂しいもんな。


「あ、チャリ」駅に置いてきたと俺の訴えに、「一日くらい構いやしねぇだろうが」放置しとけと無慈悲な事をのたまったタコ沢。