「ケイの土地勘を見越してバイクを三台も寄越した。
俺が不良の動きを探ろうとしたからカモフラージュに出た。
各々厄介になるだろうから、全力で潰しに掛かった。そう考えた方が納得もいく。

おかしいとは思っていたんだゴラァ、浅倉がヤラれたってところ辺りから」



手腕のある浅倉やその仲間がヤラれるほどの奇襲を用意するってのは、わりと至難の業だと思うぜゴラァ。


全滅させるには仲間を助けにやって来る浅倉達の行動やその人数等々を念入り調べておかないと、そう簡単にはできやしねぇ。

楠本がケイや蓮の前に現れた時もそうだ。
なんであいつは荒川チームのたむろ場付近に現れた?

俺達のたむろ場を知っていたとしても、浅倉達と談合している日までは把握できない筈。


毎度俺達のたむろ場に足を忍ばせて、「いつ助けを求めにくるだろう。今日か、明日か?」なんて見張ることも不可だ。


だったら出掛ける浅倉達の情報を察知した、誰かが楠本に一報を寄越した。それしか考えられねぇ。


なにより、浅倉達チームは“エリア戦争”の時、不本意ながらも内外から榊原チームを攻め崩したという事実がある。


「榊原を誰より慕っていた楠本だ。内側からの打ち崩しには相当憎んだ筈だ。それが舎兄が消えた一つの要因でもあるからな」

「相手に同じ絶望を味わわせたい。って、ヤツか?」
 

「そこまでは分からん」俺は楠本じゃねえからな、タコ沢は投げやりに答える。


とにかく今、連絡をすればヨウ達伝いに何かがまた起きる可能性がある。

連絡しない方が無難だとタコ沢は意見した。

あんまり浅倉さん達のチームを疑いたくはないけれど、この喧嘩は元々一つのチームが分裂して起こっている喧嘩。


小さな疑いはピックアップしておいた方がいいとタコ沢は言う。


そりゃ同調はするけど、すっげぇモヤモヤする。


俺は吐露した。