こうして重点的に路地裏のありそうな場所、尚且つ奇襲の条件に合いそうな場所をある程度挙げていった俺は、タコ沢と連絡を取りながらその場その場に行くために行動を開始する。
先にタコ沢が発ち、軽く時間を置いて俺達も出発。
ヨウ達には十二分に気を付けろと促された。
勿論そのつもりだ、出くわして喧嘩にでもなったらこっちが不利も不利だからな。
確実に俺はキヨタのお荷物になりかねないし。
これ以上、蓮さんの心労を増やさないためにも任務を全うしないと。
あ、そうそう。
出掛ける際、俺は姑に左肩の潰された痛みを思い出したせいか、それとも少し前から気掛かりと思っていたせいか、ソワソワとしている彼女に声を掛けた。
俺の身を案じてくれているココロは、声掛けた俺に無理はしないで欲しいと心配を向けてくれる。
うんっと頷き、俺は余所余所しく頬を掻いて「すっげぇ頑張ってくるからさ」これが終わったら俺にご褒美を頂戴と強請った。
まったくもって俺の性格に似合わないことを口走ったせいか、ココロはキョトン顔を作る。
羞恥心を噛み締めつつ、「だから」俺は軽く紅潮して彼女に耳打ち。
「(この喧嘩が終わったら、俺と一緒にいて欲しい…んだけど)」
もはやこれは一種の罰ゲームなんじゃないだろうか。
小っ恥ずかしいことを口走った俺に、見る見るココロは笑顔を作って「はい」と強く頷いてくる。
よって俺の勇気と羞恥心は報われた。
良かった、これで「えー」とか「イヤ」とか言われたら、俺の立場なくなるもんな。
ただ、「ケイさんって意外と甘えたがりなんですね」とか言われちまったもんだから、超居た堪れなかった。
あ、あ、甘えたがりだなんてっ!
俺はぁああ、ココロを思っうわぁああもういいよ、それでいいよっ、圭太は甘えたがりっ子だよドチクショウ!
だけど間違ったって野郎に公言しちゃなんないぞ、ココロ!
野郎に聞かれたら最後、俺は今しばらくそれで弄くられるんだからな!
死ぬほど恥ずかしい思いをするんだから、な!
と、余談はさておき。
キヨタを連れて外に出た俺は愛チャリを漕いで、早速目的地に向かうことにした。
まず向かうは話題にも挙がった駅周辺。先に盲点を把握しておきたいというのが、タコ沢と俺の意見だった。
此処ではありえないだろうという固定観念を突かれて浅倉さん達はヤられた。
だったら、そのありえない場所を先に網羅しておくのもありだと思う。



