「分かってる。大丈夫だってヨウ。お前の気持ちも酌むから。俺だってヤられちまうのはごめんだしな。
フルボッコなんてトラウマ、もう作りたくないもないし。
同行はあいつに頼むよ。あいつなら、パッと見目立たないし手腕もある」
そう言うと、俺はビリヤード台を離れて隣室の扉を開けた。
向こうにも広がる並列された台の一端に視線を流し、俺は迷わず名前を呼んだ。
敏感に反応してくれるそいつは、素早く台から飛び降りて俺の下に駆け寄って来る。
「呼んだっスか、ケイさん」
見上げてくるチビ助の背を押して、俺はリーダーの下に戻った。
「俺はキヨタを連れて行く。チーム一の手腕の持ち主で俺の弟分が一緒なら、文句もないだろ? リーダー」
「……、ったく、テメェも言ってくれるようになったな。舎弟」
苦笑を零すヨウに視線を受け止め、
「喧嘩では使えない分。なにかで役立ちたいんだって」
兄貴に似て負けず嫌いなもんで、とニッとしたり顔で笑う。
次いで俺は弟分に視線を落とした。
「キヨタ、これから俺と来てくれないか? ちょっち危険な事をしに行くんだけど」
事情をよく把握できていない弟分だけど、
「愚問っス」
どこまでもお供するに決まってるじゃないっスか、舐めないで下さいよとばかりにキヨタは挑発的な笑みを返してきた。
上等、それでこそ俺の弟分だよ。キヨタ。



