一方、ヨウは仲間達に声を掛けた。

 
「タコ沢、浅倉がヤられた。四時から集会だ」

「誰がたこざ…って、はあ? あの浅倉が? おい嘘だろ。そりゃ不味い状況だぞゴラァ」
  

「ああ分かってる」舌を鳴らすヨウは、次いで利二に視線を流す。


「五木。悪いがこっちの集会に出られねぇか? バイトで無理そうなら、ちょい頼みてぇことがある。途中まで同行して欲しい。
返事はケイにしてくれ、俺は他の仲間に声を掛けてくる」

 
言うや否やヨウは教室を飛び出して、「ワタル行くぞ!」隣近所のクラスに、「おいハジメ。弥生!」どんどん招集を掛けていく。


なんとも乱暴な招集だけど緊急事態だ。気にしている余裕はない。


利二に目を向ければ、颯爽と荷物を片付け、通学鞄を肩に掛けているキャツの姿。

その姿だけで返事が分かっちまったもんだから、「悪いな」俺は地味友に詫びた。「いや」笑声を漏らす利二はこうのたまう。
  

「好きで付き合ってるんだ。気にするな」
 

ははっ、カッコつけめ。

お前はいつでもそう言ってくれる奴だよな。ほんと、心の底から愛しちゃうんだぜ。ジミニャーノ。

「行くぞ」

利二の言葉に返事して、俺はタコ沢に声を掛ける。

仕方が無さそうに腰を上げるタコ沢はぺったんこな通学鞄を肩に掛けて、逸早く教室を出た。

ああやって手を貸してくれるところがタコ沢らしいよな。
普段は俺やヨウに闘争心剥き出しなのにさ。

タコ沢の後を追って俺と利二も後ろの扉から教室を退散。っと、その前に、俺は立ち止まって前橋に会釈。
 

「すみません、前橋先生。荒川と田山は火急の用事ができたため、谷沢と五木を連れてSHRを抜けたいと思います。では、また明日」
 

「田山、抜けるも何も午後サボっただろ?」

「細かいことは気にするなって」