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―学 校 正 門 前―
(PM03:25)
  
 
 
「んだと、浅倉がヤられた? あの浅倉がヤられちまったっていうのか?! ……今、病院だとっ、マジかよそれ」
 
  
正門前で声音を硬くしたヨウはそれはマジなのかと、何度もなんども携帯電話に向かって詰問。

携帯機の向こうからは切迫した副リーダーの涼さんの肯定する声が聞こえてくる。
 

午後の授業を綺麗さっぱりサボっちまった俺を含む四人は、鬱々とした気分を晴らすように喧嘩を堪能した後(俺は寧ろストレスだったけどな!)、軽く街をぶらつき、学校帰路を歩いていた。

そろそろ6時間目の授業が終わる頃だけど、はてさて帰りのSHRに出ようか、出たら俺とヨウは当然ながら前橋のお説教が待っているに違いない。

いつかはお説教を受けないといけないんだろうけど、今日はそんな気分でもないし(気分って問題でもないけど)。


どうしようかうんぬん悩んでいた矢先のこと。学校正門前でヨウの携帯が鳴った。
 

相手は浅倉チーム・副リーダーの涼さんで内容は冒頭のとおり、リーダーの浅倉さんが病院送りになったという凶報だった。

まさか浅倉さんがヤられちまうなんて、誰が想像しただろう。

浅倉さんはヨウ同等の手腕を持つ、喧嘩のやり手。
病院送りになっちまうなんて一抹も予想していなかった。


誰にヤられたかは謂わずも、だ。


「最悪だな」


こりゃチンタラしてる喧嘩じゃないぞ、ヨウは携帯を握り締めて現状を分析、把握、決断。


「今から集会を開く。場所はそっちのたむろ場でいい。俺達がそっちに行く。…ああ。…ああ。…四時に集会を開くって伝えろ。じゃあな」


荒々しくボタンに指を掛けるヨウは、「浅倉がヤられた」端的に告げ、すぐ浅倉チームのたむろ場に向かうと視線を飛ばしてくる。

頷く俺達はまず荷物を取りに行くため、そして仲間を招集するために各々教室へ走った。

一旦1年組と別れた俺とヨウは、静まり返っている教室を駆け抜け、SHRが行われようとしている自分のクラスに飛び込む。

今まさに始まろうとしていたSHRは静寂から沈黙に微々たる変化をしたけど、前橋の唖然顔も見えたけど、構わず俺は舎兄と自分の荷物を回収。