「クソがっ、表に出やがれ! 嘉藤、次はあんな風にはいかないからな!」


ガンガン―、二度テーブルを蹴られる。

モトは店内で暴れるのはやめてくれよ、つまみ出されるだろう、と肩を竦めた。


「お仲間引き連れて仕返しとかダッセェの。あー、分かったよ、行けばいいんだろ行けば。すんませんけど、ちょっと席外すんで」

「あ、俺も行く。3対1より3対2の方がいいだろ? 丁度食後の運動がしたかったんだよな。気晴らししたかったっつーか。ケイ、キヨタ、テメェ等は此処にいろ」
 
 
すぐ戻るから、そう言って某兄弟分と不良達が店内から出て行く。

「いってらっしゃいっス」

ヒラヒラと手を振るキヨタは自分も行きたいけど、あいつ等、弱そうだし自分が入ったら5分足らずで終わりそう。


と、ぼやきつつシェイクをチューチュー。


俺はといえば、引き攣り笑いでその場を凌いでいた。

モト、兄分の余計な面まで似てきやがったな。売られた喧嘩を安易に買いやがって。
 

「……、なあキヨタ。ヨウとモトって出会ってどれくらい経つんだ?」

「そうっスね。多分三年くらいでしょうか? あいつ、中1の時にヨウさんに出逢ってますし。その頃から俺っち、ヨウさんの話をよく聞いてましたし。何でですか?」
 

「いや…、三年も一緒にいたら、いたらんところも感化されちまうんだなって思ってさ。

って、待てよ、なあキヨタ。
お前もヨウやモトと同じ中学だったんだろ?
なんでモトはヨウと知り合っていて、お前は知り合ってなかったんだ? ヨウと知り合ったのって、去年のことだろ?」


ちょいとした疑問にキヨタは笑顔で答えてくれた。


「俺っち、中3の時に転校してきたんっスよ。だからもうヨウさん達、卒業しちゃってて。でもモトとは小学校で一緒だったから、学校が別でも仲が良かったんっス」


なるほどね、だからキヨタは中学時代のヨウ達と繋がりがなかったわけか。納得。

頬杖をついて俺は溜息をついた。三年も尊敬を貫いていたら、いらんところまで似ちまうんだろうな。

モト、ヨウみたいに喧嘩スキーとかにならないといいけど。


いや、なってもいいけど飛び火をこっちに、ガン、ガン―ッ!