「こうやって俺やどっかの誰かさんを真っ直ぐに気遣うところ、仲間思いなところ、小っ恥ずかしいところを言ってくれるところ、なんかヨウに似てきたぞ。
見てないようで仲間のこと、よく見てる。

しかも、こうして行動まで物申すんだから、どことなくお前を見てる気分だよ。

ちょいガサツで乱暴だけど、当たり前のように一線を飛び越えてくるところとかソックリだ。さすがお前の後継者。副リーダーをもうひとりくらい作ってもいいかもな」


モトは真に受けていないみたいだけど、「ほんとにな」ヨウは真に受け止めて賛同する。

「俺と違って」冷静な判断力も兼ね備えているから、兄分以上になるかもな、フッと舎兄は頬を崩して肩を竦めた。
 

途端にモトがよして下さいと狼狽、自分はそんな器じゃないと大主張してくるんだけど、ヨウも俺もそして彼の親友も同調した。

モトはそういう器がある、と。


いつかチームを任せる日も来るかもしれない、ヨウの言葉に冗談じゃないとモトは血相を変えた。

そんな柄じゃない、荷の重い役目なんて務まる筈ない、なーんて言うモト。

ははっ、本当に器はあると思うんだけどな。
そういう素質がモトにはある。そんな気がする。



ガンッ―!



と、突然テーブルが大きく振動。

なんでかっていうと理由は簡単、テーブルを蹴られたから。
ちなみに俺達四人が蹴ったわけじゃなく、第三者の蹴りがテーブルを直撃したわけで。

談笑していた俺等は視線を上げた。
そこにはちーっともお顔の知らぬ不良が三人ほど仁王立ち。


……ヤな予感がしてきたよ。
 


「嘉藤っ、見つけたぞ。三日前はよくも」



おいおいおい、しかもモトのお客さんかよ。
 
モトは一呼吸置いて、「あっ」オレに喧嘩売ってきた人だ、と思い出したように手を叩いた。

曰く、休日の昼下がりに喧嘩を売られて、ついつい買ってしまい勝利してしまったとか。

めっちゃ弱かったからオレでも勝てたんだよな、なーんてお笑い話にしてるけど、ヨウやキヨタはやるなぁって笑ってるけど、俺は、笑えない。ちっとも笑えてない。

この後、何が起きるのか、嫌でも想像付いちまう。